しかし、各社から出そろっているAndroidスマートフォンを見比べてみると、外見が似ていたとしても、細かい部分での使い勝手は大きく異なっている。本体のサイズやデザイン、素材が違えば手に持ったときの印象も大きく違う。またディスプレイの反応やUI全体の動きも、CPUを高速化するだけで快適になるものでもない。すなわち同じOSの製品であっても、実際は各社ごとに製品の仕上がりは異なるものになるのである。
そして、類似した製品が多くなればなるほど、消費者側の選別の目は今まで以上に厳しくなる。同じフルタッチでも、レスポンスの速さや画面の動き具合が細かく比較されるようになり、この差がメーカーの差別化要因として大きく働くようになるのである。
では、「NokiaらしいWindows Phone 7スマートフォン」とはどのような製品になるのだろう? 現時点では見通しはまったくわからない。だが毎年多額の研究開発費を投じているNokiaであれば、他社とは違うポイントを多く持った製品を市場に投入することは十分可能であると期待したい。いや、むしろそれが可能と判断したからこそWindows Phone 7の採用を決断したはずなのである。「手っ取り早く他社開発のOSを採用すればよい」、その程度の考えならば“後発”のNokiaに生き残るチャンスはまったくないだろう。
そして最も重要なのは、一般消費者はその製品がどんなOSを搭載しているかといったことには一切興味はないということだ。Facebookで常につながる、音楽や動画を楽しく再生できる、そういった行為をストレスなく簡単にできる製品を消費者は求めているのであって、その製品のOSやバージョンなどは気にかけることはほとんどない。そのため、両社が提携した話は一般消費者にとって興味の対象にすらならないだろう。
実際の製品を市場に投入し、それが「Nokiaらしさ」を十分に持った製品であることを消費者に納得してもらうこと、これがNokiaが早急に手をつけなくてはならないことである。そのためにも、年内といわれるNokiaブランドのWindows Phone7端末は1日でも早く発売しなくてはならない。今回の提携発表によりNokiaとMicrosoft両社の株価が上下しようが、製品が出ないことには最終的な判断はできないのである。果たしてどんな製品となるのか、期待して待ちたいものである。
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