スクリーンに映し出すスライドを使うプレゼンテーション(プレゼン)。共有サイト大手の米スライドシェアが、2009年に続き、2010年に掲載したスライド、プレゼンの傾向をまとめ、12月30日、「トレンド2010」を発表した。いわばスライド、プレゼンの実態調査である。
全体のトレンドでみると、プレゼンのスライドは10ページ未満が33%(2009年は50%)、10〜30ページが45%(同32%)で、この両者で78%(同82%)を占める。平均は19ページ(同19.33ぺージ)。中には1937ページ(同1375ページ)というスライドのプレゼンもあった。
また、スライドを各国語別に分類すると、英語が平均19ページで最も少なく、スペイン語(平均21ページ)、フランス語(同26ページ)、ドイツ語(同26ページ)、中国語(同28ページ)、韓国語(同31ページ)と続く。
最もページ数が多いのは日本語で平均42ページだった。2009年も英語は平均で18ページで最も少なく、スペイン語も20ページで大きな変化はない。38ページもあったフランス語は26ページにページ数が減った。他方、日本語は25ページから42ページとなった。
今回は、最もポピュラーな1000社の事例を取り上げて分析している。平均するとスライドは63ページ。1ページに24の単語を掲載し、フォントはHelveticaを採用。これが平均だ。
ページ数が63ページというのは多すぎるという印象は残る。これは、前出の1937ページだった事例が含まれた結果かもしれない。
1ページに24の単語を掲載しているという結果は、全米IR協会(NIRI)などのIR入門講座などでよく登場するガイダンスを思い出させる。
それはプレゼン、スライドの「テキスト」に関する2つの基本ポイントだ。
まず「1行に1つの考え」だ。これは言うまでもないような基本だが、実際はこれから大きく逸脱している例も少なくない。
次は「6×6のルール」である。これは、1行に書きこむ単語は6つまでとする、1つのスライドに書き込む行の数は6つまでとするというものだ。
1ページに掲載される単語が24という結果も、こうしたガイダンスが浸透した成果だといえるだろう。
フォントはHelveticaが24%、Miscが23%、これにArial(11%)、Times new Roman(10%)が続く。スライドの作成ソフトでは、マイクロソフトのオフィスソフトPPTが54%、その拡張子PPTXが30%で、この2つで74%に達した。
スライド、プレゼンでは、何よりも明快なメッセージの構築が成否を分ける。というのも、プレゼンに集まる人たちから、ポイントの絞り込まれたストーリーが期待されているからだ。
そして、見落とせないのは、スライドのページ数や1ページに掲載する単語の数、フォントの選択が、プレゼンで展開されるメッセージの伝達力を支えているという点である。
スライドシェアがまとめた小さな調査結果から、その現実を垣間見ることができる。
◇ライタプロフィール
米山 徹幸(よねやま てつゆき)
IRウォッチャー、埼玉学園大学教授。最近の寄稿に「IR業務のソーシャルメディアは幼年期」(宣伝会議「広報会議」10年12月号)など。
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