「REGZA Phone T-01C」開発者に聞く--重視したのは「使いやすさ」と「オープン性」

 NTTドコモが発売した富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製の「REGZA Phone T-01C(T-01C)」。スマートフォンとして初めて防水性能を備えているほか、東芝のテレビ技術「モバイルレグザエンジン3.0」によるワンセグのなめらか再生、約1220万画素カメラの搭載など、これまでの携帯電話(フィーチャーフォン)を踏襲した機能を備える。

  • 「REGZA Phone T-01C(T-01C)」

 T-01Cは、東芝の時代からさかのぼっても、同社として初となるAndroidを搭載したスマートフォンだ。より国内の携帯電話の仕様に近づけたのにはどういう理由があるのだろうか。また、それを実現する上でどのような点に注力してきたのだろうか。富士通のモバイルフォン事業本部 マーケティング統括部 第三プロダクトマーケティング部の藤森洋一氏、富士通東芝モバイルコミュニケーションズ 開発本部 モバイルフォン事業部 ハードウェア開発二部 プロジェクト課長の吉崎臣輔氏、開発本部 ソフトウェア開発統轄部 ソフトウェア開発二部 プロジェクト課長の小林誠氏に話を聞いた。

T-01Cの3つの特徴とは?

 T-01Cは、Android 2.1を搭載したスマートフォンで、NTTドコモから2010年12月17日に発売された。

  • 富士通 モバイルフォン事業本部 マーケティング統括部 第三プロダクトマーケティング部の藤森洋一氏

 藤森氏によると、T-01Cには3つの特長があるという。1つは、チップセットに「Snapdragon 1GHz」を採用し、さらに4インチの大型ディスプレイや1220万画素のカメラを搭載するなど、ハイスペックであるということ。2つ目は、ワンセグやおサイフケータイ、赤外線を備えるほか、スマートフォンとして初めて防水に対応するなど、日本のケータイサービスを取り入れたこと。3つ目は、独自のインターフェース「NX! UI」を搭載するほか、日本語入力システムに「ATOK for T-01C」を導入するなど、楽しさや使いやすさを重視しているという点だ。

 特に映像については、東芝の液晶テレビ「REGZA」のブランドを冠し、モバイルレグザエンジンの超解像技術が初めて搭載されている。「ワンセグの映像を単純に拡大表示するだけでなく、間のコマを予測して補完し、なめらかに見せる機能も備えた」(藤森氏)と話す。

  • 日本語入力システムに「ATOK for T-01C」を搭載

 独自のタッチインターフェースNX! UIを搭載しているのも特長のひとつだ。これは、通話履歴やメール、さらにはTwitterやmixiなど、16種類用意されている「パレット」を入れ替えて最大9つのホーム画面をカスタマイズできるというもの。さらに「スターメモ」という機能も用意されており、これを使えば写真やテキストに加え、ウェブサイトの画面や、Twitterのお気に入りなどをそのままメモとして保存することができるほか、それをmixiやTwitter、Picasaなどに投稿することもできる。

 なお、KDDIから発売される予定の「REGZA Phone IS04」との違いについて、「デザインやカラーバリエーション、卓上ホルダが付属しないという点が異なる。通信方式やユーザーインターフェースもキャリアに合わせて変更しているが、それ以外は基本的に共通化している」(藤森氏)とし、機能面での大きな違いはないとしている。

日本仕様を意識して開発、防水も実現

  • 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ 開発本部 モバイルフォン事業部 ハードウェア開発二部 プロジェクト課長の吉崎臣輔氏

 開発に携わった富士通東芝モバイルコミュニケーションズの前身である東芝の携帯電話部門は、これまでにもWindows Phoneを採用したスマートフォンを2機種投入してきた。T-01Cは当初から国内市場を意識した内容にしたという。その理由について、「従来は世界市場共通の仕様で販売することを前提としていたが、日本のユーザーに幅広く普及するには至らなかった。Androidを初めて採用するにあたり、従来のスマートフォンユーザーやハイスペック指向の人だけでなく、多くの日本人ユーザーに購入してもらえるものを提供したかった」と明かした。

 ことAndroid搭載のスマートフォンは、海外メーカーが先行している部分も大きい。それゆえ藤森氏は「スマートフォンに対するこだわりもあるし勝負できると思うが、このタイミングで出すからには、日本メーカーならではの要素を意識した」と説明した。

 フィーチャーフォンの基本機能を備えたスマートフォンであるT-01Cは、狙い通りすそ野が広がっているようだ。藤森氏によると、先に開催されたNTTドコモの内覧会においてT-01Cに関する質問を受けたところ、スマートフォンへの買い換えは初めてというフィーチャーフォンのユーザーが7〜8割近くを占めたのだという。「ある程度想定はしていたが、一般層からの反響が大きく、思った以上にスマートフォンへの期待感や興味が高まっている」と驚きを隠さない。

 日本の携帯電話を意識した仕様として、T-01Cの特長のひとつが「防水」だ。携帯電話と形状が異なるスマートフォンでは、どのような形で防水を実現したのだろうか。吉崎氏は、「フィーチャーフォンと基本的な設計の骨格は大きく変わらない。これまでのノウハウを流用して、構造的に工夫しながら高密度化を進め、コンパクトさと防水性を実現した。構造上水没した状態では利用できないが、雨に濡れた程度の状態であれば使用できるよう、調整をしている」と語った。

  • T-01Cのヘッドホン端子

 防水面でやや気にるのが、ヘッドホン端子にカバーがなく、金属がむき出しになっているという点だ。吉崎氏は「よく聞かれる」と笑う。「この部分は部材メーカーと研究して、金属がむき出しでも防水性を実現した端子。水に濡れた後は振って水を抜きだす必要があるが、取扱説明書に従ってもらえれば問題なく利用できる」と話した。

 このほかにも、日本市場を意識した要素として「幅」があるという。「サイズで重要なのは横幅で、片手で女性にも持ってもらえるよう、62mmという幅を実現した。またボタンもタッチ操作だと押しにくい部分があるので、電源やカメラのシャッターなどは専用のキーを用意した」と話した。

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