Web APIを活用したシステム開発と広告関連コンサルティングを提供するATARAが、リスティング広告を運用するための統合アプリケーション「ATARA Apps」をリリースした。
ATARA Appsはリスティング広告を運用する広告主、または広告代理店向けの4つの自動化ツールから構成される。ラインアップは、入札すべきキーワードを効率的に発見できる「ATARA keyword Generator」、時間帯別で広告文を変更できる「ATARA Creative Scheduler」、広告主へ提出するレポートを自動生成できる「ATARA Report Automator」、競合の広告出稿状況を調査できる「ATARA Competitive Analyzer」だ。
ATARA代表取締役CEOの杉原剛氏は、「リスティング広告市場は中小規模の広告主の獲得に移りつつある。ただし、予算は低いし、代理店のコミッションも低い。でも手間は変わらず、あまり儲からない。自動化を進めないと疲弊するばかり」と述べる。ATARA Appsは、これまで人が手間をかけていた作業を自動化し、作業の効率化を図る。最も人気なのはレポーティングツールのATARA Report Automatorだという。
ATARA Report Automatorは、はじめにデータを出力するテンプレートを作っておけば、ワンクリックでリスティング広告のレポートを生成できるというもの。テンプレートは折れ線グラフや棒グラフなどのパーツをウェブ上で組み合わせていくだけでできあがる。今後は分析コメントの作成をサポートする機能を加える予定だ。
これまでリスティング広告のレポートは人手をかけて作成していたため、どうしてもミスが出ていた。また広告代理店の運用担当者がドキュメントの作成作業に時間をとられ、より重要なコンサルティングに割く時間がなくなってしまうという課題もあった。ATARA Report Automatorを導入した企業は地方の作業拠点を閉鎖し、20人分の人件費を削減できたという。
ATARA keyword Generatorは新規の検索キーワードを発見し、入札を支援してくれるツール。「検索数のトップ1万語を毎月見ると、そのうち15〜20%は新しい言葉。CDの名前や事件、季節性を反映したものなどがあり、それぞれひらがな、カタカナ、英語で表記される。その中から入札すべきキーワードを見つけるのは大変なのでそれを支援する」(杉原氏)。新キーワードが見つかると管理画面で強調表示し、担当者にメールで通知。いち早く入札作業に移れるようになっている。
ATARA Creative Schedulerは広告出稿に関するスケジュールを設定し、自動で実行してくれるツール。広告出稿のオン、オフから広告文の切り替えなどを時間を区切って設定できる。たとえば広告の飛び先がメンテナンスで深夜に一時閉じることがわかっていれば、自動で広告出稿も止められるため、運用担当者が徹夜で作業する必要がなくなる。またターゲットユーザーの属性が平日と週末で異なる場合は、広告文も同じタイミングで切り替える必要がある。そんなときにも使えるツールだ。さらに広告がスケジュール通りに出稿されたことを確認するため、広告が表示されている画面をスクリーンショットにとってメールで送ってくれるという機能も搭載している。
ATARA Competitive Analyzerは競合企業が広告キャンペーンにどれだけ投資しているか、どんなクリエイティブを使っているかを報告してくれるツール。「9割程度の精度は保っている」と杉原氏は述べる。自社と同じキーワードに入札している他社の状況がわかるようになっており、それを元に自社の戦略をたてられる。リスティング広告の予算獲得の説得材料として、広告代理店からも広告主からも引き合いの強い商品だという。
これら4つのツールは個別に導入できる。利用料金はアカウント数で従量課金。最も低価格なのはATARA keyword Generatorで、初期導入費が30万、月額料金が5万円。ユーザー数は無制限となっている。
ATARA Appsのターゲットは30〜40以上のアカウントを持つ代理店。「その規模から手間が顕在化し、自動化のニーズが出てくる」と杉原氏は話す。同氏はオーバーチュアとグーグルの2社でリスティング広告に携わった経験を持つ。「ノウハウとテクノロジーを融合させるのがATARAの強み。導入企業からは『かゆいところに手が届いている』という声が多い」(杉原氏)。
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