ネットで聴けるラジオ「radiko」、株式会社化してサービスを本始動--今後はエリア拡大も

岩本有平(編集部)2010年11月25日 18時39分

 IPサイマルラジオサービス「radiko.jp(radiko)」を試験運用してきたIPサイマルラジオ協議会の会員14社は11月25日、radiko.jpの実用化に向けて新会社「株式会社radiko」を設立すると発表した。

 設立日は12月1日。資本金は9000万円、出資比率は電通が17%、TBSラジオ&コミュニケーションズ、文化放送、ニッポン放送、日経ラジオ社、エフエムインターウェーブ、エフエム東京、J-WAVEがそれぞれ8.0%、朝日放送、毎日放送、大阪放送、関西インターメディア、FM802、エフエム大阪がそれぞれ4.5%。代表取締役社長には、電通ラジオ局次長の岩下弘氏が就任する。

 同日開催された会見で岩下氏は「ラジオ広告費は1991年2400億円でピークで現在は半減している。厳しい状況でラジオ局各局が努力をしているが、回復には至らない」と現状を説明。その上で、「2007年に在阪ラジオ局が設立したIPラジオ研究協議会、それに在京局も加わって始まったIPサイマルラジオ協議会で得られた知見から、大いに可能性があるという結果が出た。本格的なプロジェクト推進に向けて現在に至った」と法人化の経緯を語った。

 IPサイマルラジオ協議会では3月15日よりradikoを試験運用してきた。サービス開始当日は500万ストリームでサービスが停止するに至ったが、週平均で200万〜300万ストリーム(東京大阪あわせて)の聴取があるという。

 10月に実施したユーザーアンケートの結果によると、ユーザー層は20〜40台男性が中心で、地上波ラジオ聴取者に比べて若年の分布が多いという。アプリの提供によりiPhoneやAndroidにも対応。PCでの聴取に加えてスマートフォンでの聴取も増え、「この数カ月で200万台のラジオが生まれたようなもの」(岩下氏)と説明する。また、これまでラジオを聴取していたがやめたというユーザーも、radikoを契機に再びラジオを聴取するというケースも少なくないという。「地上波があくまでメインで(radikoは)補完する立場にある。地上波を食うわけでなく、新たな年齢層、聴取時間を作り出している」(岩下氏)

  • radiko.jpのユーザー属性

  • 聴取時の利用デバイス

  • radiko.jpは新規ユーザーだけでなく、かつてのラジオユーザーを取り込んでいるという

 法人化にあたり、配信エリアを関東では東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、群馬県、栃木県の7都県に、関西では大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県の6府県へと拡大する。また、東京や大阪の周辺局のほか、名古屋や福岡、北海道など基幹地域のラジオ局の参加も促す。設備面での準備もあるため、他地域については2011年春頃をめどにサービスを展開していく見込み。本運用にあたり、著作権に関してはradikoにて包括契約を行う。

 当初は運用コストを参加各社が負担するため、収益化が課題となる。そのため、広告商品の新規開発も進める。2011年度までに、音声番組とネットの連動広告を展開する予定だ。しかし、当初は聴取数や収益の目標は掲げておらず「利益を追求していくために株式会社化したが、実現には時間がかかる」(岩下氏)。今後はTwitterをはじめとしたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)とも連携していく。

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