SAS Institute Japanが11月18日にリリースした「SAS Social Media Analytics」は、ソーシャルメディアなどネット上の意見や評判を分析し、マーケティングに活用するためのSaaS型ソリューションだ。2008年3月に米SAS Instituteが買収したTeragramの非構造データ分析エンジンを基に、ソーシャルメディアに含まれるさまざまな非構造データを分析、特定の企業やトピックについて人々がどのような意見を持っているのかを判断する。
SAS Institute 上席副社長 兼 最高マーケティング責任者のJim Davis氏は、「SASがHarvard Business Reviewと共同で実施したソーシャルメディアについての調査では、多くの企業でソーシャルメディアがビジネスに与える影響は大きいと認識しており、そのための対策を立てるべきだと考えているにもかかわらず、戦略的に対策を立てている企業は少ないという結果が出た」と話す。果たしてSASの新ソリューションは、こうした企業の戦略立案に役立てることはできるのか。Davis氏に、SAS Social Media Analyticsについて、またソーシャルメディアをいかにして企業戦略に生かしていくべきなのかを聞いた。
こうしたソリューションには2つのタイプがある。まず、ソーシャルメディアで自社がどのように言われているかをそのまま見せるタイプだ。これは、自社を映す鏡のようなもので、Radian6などの企業がこのタイプのソリューションを提供している。この分野は、スタートアップをはじめとする数多くの企業が手がけている。
SASのソリューションは、ソーシャルメディアでの自社に対する発言を見つけ出すのみならず、このデータを使ってどうすべきかまでを提案するものだ。例えば、顧客をセグメント化する、マーケティング自動化機能でキャンペーンを打ち出す、影響力のあるインフルエンサーを探し出すといったことも可能だ。これは、SASの高度分析技術があるからこそ実現できるのだ。
自社に対する意見を集めてくるだけのソリューションは数多いが、大切なのはここからどうするかだ。Harvard Business Reviewとの調査でも、ソーシャルメディアの重要性を理解していても戦略を持たない企業が多いという結果が出たが、戦略を決める段階になると必ず分析技術が必要になってくるのだ。
その通りだ。これはBIではなく、ハイエンドの分析が必要なBAと位置づけられる。BIには、レポート機能、製品別や地域別の売上といった多方面からの分析を行うOLAP(Online Analytical Processing)、アラート機能などが備わっている。BAはこうした機能に加え、統計分析や予測モデリング、最適化機能までを備えている。例えばこれまでの売上から来月必要となる在庫を予測したり、顧客の行動から誰が何を購入しそうかを予測したり、市場や過去のデータから製品の適正な価格を提案したりといったことができるようになる。
つまりBIは、過去のデータを分析し、それに対応するためのものだ。一方のBAは、意思決定のために事前に対策を立てるためのものだ。これが大きな違いだ。IBM CognosやSAP BusinessObjectsはBIを得意としているが、BAの機能は備わっていない。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス