コンピュータゲームはコンピュータの世界で最先端技術をさらに推し進める重要な役割を担ってきたが、Mozillaもブラウザアプリケーション開発の推進にゲームを利用したいと考えているようだ。
「Firefox」を手がけるMozillaは米国時間9月7日、Mozilla Labsで新たなゲームプロジェクトを開始した。その目的は、さまざまなブラウザおよびウェブ関連の新技術をプログラマーに活用してもらうことだ。
Mozilla Labsの「触媒」役、つまり「さまざまな物事を起こす」役割を担っているPascal Finette氏は、以下のように述べている。「最新のオープンなウェブ技術によって、オープンな『video』や『audio』要素、WebGL、タッチイベントやデバイスの向きを利用した技術、ジオロケーション、高速なJavaScriptエンジンなど実にさまざまな技術が導入され、ウェブ上で複雑な(ただし複雑すぎない)ゲームを作成することも可能になった。こうした技術が最新のブラウザを通じて提供されていることから、このプラットフォームを推し進める機は熟したと言える」
この取り組みの一環として、Mozillaは「Game_On 2010」という名前のブラウザ向けゲームコンテストを開催することも発表した。こちらは9月中に開始予定だ。
こうした取り組みは、大きな業界の流れとも一致するものだ。ブラウザは、ウェブページを表示する入れ物から、アプリケーションの基盤へと成長しつつある。ブラウザの分野では何年にもわたって動きが鈍く、今でもPCアプリケーション市場に注力しているMicrosoftでさえ、次の「Internet Explorer 9」(IE 9)ではウェブアプリケーションの考え方を採り入れている。IE 9は9月15日にベータ版がリリースされる予定だ。
現在ウェブで利用できるカジュアルゲームの多くは、Adobe Systemsの「Flash」で作成されており、新旧のブラウザや複数のオペレーティングシステムで実行できる。だが、ブラウザに搭載されつつある多くの機能、特に2Dグラフィックス用のSVG(Scalable Vector Graphics)と「Canvas」要素では、Flashの機能の一部を実現している。また、ハードウェアアクセラレートされた3Dグラフィックス用のWebGLなど、他のテクノロジもFlashと同じ方向に向かっている。
PC向けのカジュアルゲームは大きな市場だが、ゲーム業界では新世代のスマートフォンをはじめとするモバイルデバイスがもう1つの新しい勢力となっている。最もよく知られているのは、Appleの「iOS」ベースのデバイスである「iPhone」「iPod touch」「iPad」だ。ただし、モバイル環境では静的なウェブページでもハードルが高く、ウェブベースのゲームはさらに困難だ。そのため、少なくとも今のところは、優れたブラウザベースのゲームのほとんどはデスクトップ環境向けのものに限られることになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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