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サーチとディスプレイ広告の新たな関係から見える課題--「SES San Francisco 2010」レポート - (page 2)

杉原剛(アタラ 代表取締役CEO)2010年09月09日 08時00分
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サーチの自動入札ツールがディスプレイ広告にも

 もう1つの背景を説明しよう。ディスプレイ広告については、米国ではすでにアドエクスチェンジと呼ばれる広告市場で広告の売買が行われている。広告主が複数の大手エクスチェンジへ広告を配信するための入札管理を行うDSP(Demand Side Platform)市場に、リスティング広告の自動入札システムを手がけてきたEfficient Frontierが参入したことを発端に、この分野のテクノロジーソリューションの動きが活発になってきているのだ。

 Efficient Frontierは、強みである金融工学のポートフォリオ管理手法で、大量のキーワードの最適な活用を自動化している。ユーザーは全体の戦略と目標さえ設定すればいい。それが、ディスプレイ広告の管理をも取り込んだということになる。ディスプレイ広告も配信先は無数にあるため、自動的に最適化をするのがDSPの役割である。

 そういう意味では最適化ロジックを応用できるため、サーチの自動入札ツールがディスプレイ広告市場に参入するのも自然な流れなのだろう。また、ツールベンダーも前述のアトリビューションを測定し、その重み付けされた貢献度合いによって入札価格を変動させるという方向に進みつつある。

 今後、サーチの自動入札ツールやDSPはサーチ、ディスプレイ広告、ソーシャル広告など、様々なマーケティング施策を一元的に管理できる、広告主/代理店向けのマーケティングコクピット/ダッシュボードという極めて重要な位置づけを確立するだろう。そのため、当然のことに覇権争いは激化することが予想される。今後も相互の市場への参入、買収が繰り広げられるだろう。

 いずれにせよ、この分野の進化はかなりスピーディに始まっている。マーケティング担当者はすでにサーチ単体、ディスプレイ広告単体で考えることができなくなってきており、求められるアウトプットも複雑で、高度なレベルのスキルや経験が必要となってくる。

 SESのあちこちのセッションで提唱されていたことの1つが、「データ分析のための必要な投資(人、システム、試行錯誤のプロセス)を今から惜しまずに行おう」というものであった。結局のところ、高度な分析手法が確立しシステムが出てきても、データを読み取り迅速に適切なアクションへとつなげることができなければ意味がないのである。

 いわゆるウェブアナリストは今後どの企業にも必須な存在になるだろう。これは日本でも同様の課題である。広告主、広告代理店、広告媒体社いずれの立場でも、すでに到来しつつあるデータセントリックな時代に生き残るために、どう備えるかを真剣に考えなければいけないフェイズにきていることは間違いない。

  • 会場となったMoscone Westの外観

    杉原剛

  • セッション会場入り口

    杉原剛

  • white hat SEO派とblack hat SEO派がそれぞれ白い帽子と黒い帽子をかぶって、飲みながら議論するパーティーの様子

    杉原剛

杉原剛

アタラ合同会社

代表取締役CEO

オーバーチュア、グーグルでの両検索エンジンの広告事業に携わる。現在はアタラ合同会社 代表取締役CEO。Web APIを活用したリスティング広告の自動化/効率化システム開発、リスティング広告体制構築のコンサルティングを行う。また、アトリビューションマネジメント手法によるマーケティング全体最適を提唱しており、欧米の事情にも詳しい。

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