1つはカバレッジ。ブログ、掲示板、Q&A、SNS、ユーザーグループ、新聞・雑誌などのトラディショナルメディア、YouTube、Twitterなど約200サイトをクロール対象としている。2つ目はグローバルなサービスであること。英語圏と欧州諸国のほか、2009年の日本語版と同時に中国語版もローンチした。現在は韓国語版とポルトガル語版のサービスも提供しており、順次、中南米もカバーする。千葉氏は、「複数言語、複数地域で同じ指標の分析プラットフォームを提供できるのはNielsenグループだけ」と自信を見せる。
米国ではグローバル企業が日本も含めて世界各国を横断したCGM分析を実施した事例もあるという。日本に本拠を置く企業が世界的なCGMを分析する試みも進行中とのことだ。
3つ目は単純な分析にとどまらず、コンサルティングサービスもあわせて提供していることだ。「日本では廉価なASPサービスが席巻している印象があり、本来のCGMの分析を矮小(わいしょう)化しています」と千葉氏は話す。これに対してBuzzMetricsは、専門のアナリストによるアドホックのカスタムレポートサービスに注力し、クライアントのマーケティングの課題や、ブランドの課題に対してCGM分析とコンサルティングを提供している点が強みだ。
Lindsay氏は、「ツールやテクノロジーだけでは、クライアント企業がソーシャルメディア上で包括的な戦略を作るのに貢献できない」と語る。「企業は自社のブランドについて毎日数千の規模の言及を受け取ります。どれが重要なのか、どれに返信すべきか、判断するのは非常に困難です。我々は企業がそういった判断をするのを助けるために多くの時間を費やしています」
BuzzMetricsは米国では自動車、テクノロジー、ヘルスケア分野に顧客が多いそうだ。自動車では、米TOYOTAの新車デザインと、メディアを使ったキャンペーンに関する記事を分析した。ターゲットとして想定していた層から支持を得ていることが判明し、マーケティング活動の方向性を確認できたという。食品事業のConAgra Foodsの事例では、健康食品の新たなトレンドをCGM分析から察知し、現在人気があるダイエット手法に関するバズの減少兆候を明らかにしたという。
ヘルスケアのように規制の厳しい業界は、コミュニティの存在が一層重要となる。特定の病気について消費者がコミュニティを形成し、お互いに相談しあったり、サポートしあったりしている。そういった場がオンラインにあったとき、そこでコミュニティの声を「聞く」という行動がとても重要であるとLindsay氏は語る。
「製薬業界は典型的な例。規制があり、ターゲットが狭く、マスに向いていません。けれどもフォーラムは活発で、深い議論がなされているため、バズは非常に取りやすい。我々はアスキングとリスニングと呼んでいますが、Nielsenの従来の調査方法のうち、例えばグループインタビューや定量調査がアスキング、それに対してソーシャルメディアのマーケティングやCGM分析がリスニングです。リスニングは消費者が話していることに耳をすませるため、バイアスがかからないのも特徴です」(千葉氏)。
日本のBuzzMetricsは米国市場の10年のノウハウをそのまま移植できる体制を整えているという。「BuzzMetricsは複数言語、複数地域、アドホックレポート、コンサルティングワークなどが非常に大きな競合優位性になります。矮小(わいしょう)化してしまった日本の市場で、ある一定のポジションを築きたいと考えています」(千葉氏)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス