「ワイヤレスジャパン2010」初日の7月14日、ソフトバンクモバイル 取締役副社長の松本徹三氏は基調講演「移動通信ビジネスの将来ビジョン」において、携帯電話業界の未来や同社の今後の戦略などについて語った。
松本氏は、携帯電話ユーザーは通信キャリアをネットワーク業者として考えていないと話し、携帯電話端末を購入することで受けられるサービスやサポート、そしてそれらを支えるネットワークなどの「総合的なバリュー」に対して対価を支払っていると説明する。
その上で、携帯端末メーカーやコンテンツプロバイダへのサポートも一括して通信キャリアが請け負う日本の携帯電話サービスの「エコシステム」は、世界的にも優れており高い評価を得ていると述べ、今後もこのエコシステムを強化していく姿勢を示した。
2006年6月末のボーダフォン買収時に2.4兆円あったソフトバンクの純有利子負債は、毎年順調に利益を上げたことで、2009年度には1.5兆円にまで削減できたという。「2014年度には完済できると社長(孫正義氏)も公言している」(松本氏)。また、課題とされてきたインフラ面への設備投資も、2010年度は大幅な増額を予定しているという。
松本氏は、ソフトバンクにおけるデータARPU(1契約あたりの月間売上高)が55%を占め、これまで収入源とされてきた音声通話ARPU(+基本使用料)を越えたことを紹介した。今後、データサービスによる収入が音声通話による収入の落ち込みを補っていくと予測している。
また、スマートフォンやソーシャルネットワーキングサービスの普及、リッチコンテンツのダウンロードの増加などにより、5〜6年後のデータトラフィックは少なくとも現在の50倍以上まで拡大すると見込む。その巨大なトラフィックをモバイルだけでカバーしていくのは不可能だとした上で、今後は「モバイル」、「Wi-Fiと有線」、「放送」の3本柱でサポートしていく必要があると語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」