コンサルティングの仕事が魔法のようにあふれ続け、次の顧客の次の問題を解決することにだけ集中すればよいのであれば、どんなにいいだろうか。残念ながら、コンサルティングの仕事はそういうものではない。この業界である程度の経験があれば、コンサルティングをすることと、コンサルタントとして商売をすることは違うということを知っているはずだ。
正直に言おう。筆者がこの仕事に足を踏み入れたときには、ウェブサイトも、名刺も、顧客を幸せにし続けること以外に実際のマーケティング戦略も、何も持っていなかった。筆者は始めこそ幸運に恵まれ、評判や紹介を得ることができたが、ある時点で、コンサルティング事業を続けていくことについて、真剣になる必要が出てきた。
コンサルティングの仕事をしてきた年月が長かろうが短かろうが、コンサルティングのビジネスとしての側面について真剣に考えなければ、いつの間にかベンチに縛り付けられて、その状態からどう脱出すればいいかまったく分からないことになりかねないという大きなリスクを抱えることになる。
そのような不幸な状況を避けるために、ビジネスをプロセスとして捉え、シックスシグマなどの品質管理の手法に見られる確立された手法を用いて、自分のやり方を構築し、改善していくことを強く勧める。シックスシグマには2つの基本的な手法があり、実践の指針となる単語の頭文字を取ってそれぞれ名前が付けられている。DMAIC(Define、Measure、Analyze、Improve、Control)は、プロセスの改善に用いられる。これについては、別の記事でコンサルティング業務を改善するという観点から説明する。しかし、持っていないものを改善することはできない。このため、実際に品質の高い製品やサービス、プロセスを作るために、DMADV(Define、Measure、Analyze、Design、Verify)という手法が生み出された。われわれは、コンサルティング業務のプロセスを体系的に作り上げようとする際、DMADVの流れに従っている。
まず、自らのビジネスで何を生み出したいか、つまりアウトプットを決定する。これは簡単なことではないし、一部の人は、自分でこれを本当に理解するまでに何年もかかる。生み出したいのは利益だと本能的に言う人もいるだろうが、果たして問題なのは金銭だけだろうか。ライフバランスはどうだろう。筆者が重要視している指標は、自由にできる時間だ。筆者は一晩でこれを思いついたわけではない。これを見つけるまでには、指導やカウンセリングが必要だった。読者は筆者と同じゴールを持つ必要はないが、なぜ自分がビジネスをやっているのか、そしてビジネスから何を生み出したいと思っているかを明らかにすべきだ。
自分のサービスから恩恵を受けるのが誰か(例:顧客)、そして彼らにとって質の高いサービスの定義はどういったものかを考える必要がある。一番いい方法は、直接尋ねることだ。現在と過去の顧客に対して、自分のどういうところがよかったかを調査するのだ。また、サービスを改善するにはどうしたらよいと思うか聞くのもいいだろう。これらの指標は、コンサルタントとして成功するために不可欠のものだ。これらの指標を集め、追跡するシステムを考案し、自らの実績を客観的に分析できるようにすべきだ。
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