キヤノンの製品開発を支えるPLMシステム:IT活用と業務革新の秘密 - (page 3)

冨田秀継(編集部)2010年05月31日 15時24分

IT活用の推進は業務革新と並行して行う

 ITシステムは導入、実装だけで終わるものではなく、部門に定着させる作業も必要だ。キヤノンではITシステムの統一を機に、全事業でモデリングルールを統一。加えて、従来は別々だったメカ設計とハーネス設計もNX上で統一している。

 しかし、浜谷氏はITを「ただツールとして使うものではない」と断言する。ITの統合と業務革新は並行して進めるものだからだ。

 「リーマンショック以降、キヤノンのトップは何をしなければいけないかを考えた。その結果、思った通りに在庫を削減できなかったという苦い教訓を得た。そこで、各事業が利益率や原価率といった経営的な数字を、ITでどう把握、利用したら良いかと考え、BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)に着手した」

 「5月12日付けの日本経済新聞で、キヤノンは現在の売上の3兆円強を、5年後に5兆円、6兆円と伸ばすことを示した。そのためには新しい事業を作っていくことと、ITを使って次の手を打っていくことが重要だ。CADとPDMを統合し、生産管理や販売システムをひとつのシステムとして統合する」

 キヤノンではこの基幹PLMシステムを使って、製品の計画、開発、製造、販売、品質管理のサイクルを推進する。また、バリューチェーンの再構築、過去の失敗のフォローアップなどのBPRもITで進めるという。

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