IBMのスーパーコンピュータは、エネルギー使用を40%削減し全体的なカーボンフットプリントを劇的に削減する手法によって、室内暖房器具としての機能も備えている。
スイスのチューリッヒ工科大学に設置された、「Aquasar」と呼ばれるこの液体冷却型スーパーコンピュータは現地時間5月6日、電源が投入され、流体力学の分析作業とともに、建物への熱供給を始めた。典型的なデータセンターでは、エネルギーの約半分は冷却に使われる。
1つのラックに収められた2台の「IBM BladeCenter」サーバで構成され、6テラフロップの計算処理能力を持つこのシステムは、IBMとチューリッヒ工科大学の研究者によって監視される。IBM関係者によると、研究者たちはエネルギー性能に関するデータを収集するが、このプロジェクトの主要目的の1つは、液体冷却型コンピュータが実用可能であることを示すことだという。
システムのコア部分は液体冷却型プロセッサだ。このプロセッサでは、マイクロチャネルクーラーと呼ばれる小さなパイプラインがプロセッサの裏側に複数取り付けられている。そこから、各導管はラック上のパイプ、さらに大規模な液体ネットワークに接続される。空気冷却型コンピュータの横で使用されているこのスーパーコンピュータは、通常の冷却用チラーを必要としない。
循環する水はプロセッサを冷却し、その後、ポンプで建物の床下にある放射型暖房システムに押し出される。熱交換機はその水から熱を取り除き、冷たい水をポンプでサーバへ送る。
データセンターで発生した廃熱を利用して建物を暖める試みは、既にいくつかの場所で行われている。IBMとチューリッヒ工科大学の研究プロジェクトの目的は、プロセッサレベルの液体冷却の潜在的な効率性を実証することだ。
IBMの推計によれば、空気冷却型のサーバと比較して、液体冷却型システムのエネルギー使用量は40%少なく、電力消費量は約20キロワットだという。室内暖房機能も備えていることから、液体冷却型システムはカーボンフットプリントを推計で85%削減する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ
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