米連邦通信委員会(FCC)は米国時間5月7日、映画業界はユーザーのホームシアター機器のアナログビデオ出力をリモートから無効にし、DVD発売前や劇場公開期間中にオンデマンドで最初にリリースされた映画を録画不可能にすることができる、との判断を下した。
全米映画協会(MPAA)にいわゆるSelectable Output Control(SOC)を認めることは「公共の利益」にかなっており、それによって劇場公開日により近い時期にオンデマンドの映画を提供する「新しいビジネスモデル」が可能になる、とFCCは判断した。
一部の高解像度(HD)コンテンツを利用できなくなるユーザーが出てくるとの懸念から、FCCは以前はSOCを禁止していた(HDMIケーブルで実現しているHDコピー保護機能は、コンポジットやコンポーネントのようなアナログ接続端子では利用できない)。
映画業界は2008年、その禁止措置の免除を要請した。それが認められれば、映画業界はユーザーがオンデマンドの先行リリース映画をDVRに録画し、デジタル接続端子のない旧式のHDTVで視聴するのを防ぐことになるものだった。
幸い、FCCはMPAAの全ての要求を認めたわけではなかった。FCCは命令書(PDF)の中で、「MPAAが要請した禁止措置免除は、コンテンツの違法コピー防止に必要な保護の範囲を超えている」と述べている。FCCが認めた限定的な禁止措置免除によると、映画業界が選択的にブロックできるのはアナログ入力のみで、有効期限は90日間だけだという。また、FCCは全ての免除申請を精査した上で許可を出すことを義務づけられる。
もちろん、消費者にとって問題なのは、デジタル入力のないHDTVがたくさんあることだ。そして、これらのテレビの所有者は新しいテレビを購入しない限り、先行リリース映画を全く見られなくなる。消費者保護団体のPublic Knowledgeは、再生できないことを知らずにオンデマンドの映画を実際に購入する人が出てくるかもしれない、と指摘した。
映画業界が文字通りリモートからユーザーのホームエンターテインメント機器の一部を無効にすることを認める前例を作ってしまうのは、憂慮すべきことだという主張もある。
全米家電協会(Consumer Electronics Association:CEA)は声明で、「FCCが、家庭の製品を無効化する権利を民間団体に付与した前例をわれわれは知らない。映画会社各社が新しいビジネスモデルを構築したいからと言って、機能している製品を無効化する権利が与えられるべきではない。決定は公共の利益に反し、FCCが本来保護すべき消費者に痛手を負わせるものだ」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ
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