「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)、携帯電話向け電子ブックや画面カスタマイズコンテンツを手掛けるプライムワークスが相次いで株式分割の実施を発表し、株価を急騰させている。ライブドアショック前は「成長企業の証」ととらえられ、株価急騰のきっかけとなっていた株式分割が再び増加しており、市場関係者の注目を集めている。
DeNAは4月20日に1株を300株とする株式分割を実施すると発表。同時に現在1株の売買単位を100株にくくり直すため、実質は1対3の株式分割となる。株式分割後は現在70万円台半ばの最低投資金額が20万円台まで低下する。
株式分割は株券を分割するため、発行済み株式数が増加して株価が低下する。発行済み株式数の少ないベンチャー企業の場合、発行済み株式数が増えて流動性が増す上に株価が低下するため、投資家は投資しやすくなる。一方で業績や企業価値など、株価の判断材料となる指標への影響はなく、本来なら時価総額などへの影響はフラット。ただ、株式市場では「株式分割=買い」という構図ができている。
株式分割の背景には、証券取引所の指導がある。証券取引所では、発行企業に対し、「最低投資金額は50万円以下が望ましい」という指導をしているのだ。最低投資金額が50万円を超えるほど高い状態をキープできるのは主に高成長企業であり、株式分割の実施が企業の成長イメージにつながっている。かつてヤフーは年2回の株式分割を数年間継続した経緯がある。2006年1月の制度改正前は、株式分割によって発生する新株が流通するまで1カ月程度の時間を要し、その間の需給面のゆがみを材料に株価が急騰するケースもあった。現在は即日で株券が流通するため需給のゆがみはなくなったが、当時の連想から買い注文が先行するという側面もあるようだ。
DeNAに続いてプライムワークスは4月21日に1対3の株式分割を発表した。プライムワークスは電子書籍関連銘柄として、DeNAに劣らぬ成長力を持つ企業だと株式市場で評価されている銘柄。こちらは現在35万円台の最低投資金額が11万円台まで低下する見込み。株式分割の実施日はともに5月末。
東京市場は4月末から5月に向けて決算発表シーズンに突入する。ネット系企業も4月末から相次いで決算を発表予定。株式市場では「GREE」を運営するグリーも株式分割実施がうわさされており、決算数字以外でも注目度が高い。足元の小型株の上昇相場に弾みを付ける材料として、株式分割実施企業にも注目しておきたい。
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