「プロダクトライフサイクル管理(PLM)は、開発からマーケティング、製品寿命の延長までをカバーし、製品収益率を最大化する」――シーメンスPLMソフトウェアの呼称で知られるシーメンス プロダクトライフサイクルマネジメント ソフトウェアJPの代表取締役社長に就任した島田太郎氏が4月20日、報道陣を前に事業戦略を説明した。
島田氏は新明和工業で10年間に渡り航空機の設計に従事。構造設計や空力設計、飛行試験、設計総括を担当し、防衛庁(当時、現在の防衛省)機に加え、米航空機製造大手のMcDonnell DouglasやBoeingとの国際共同設計に参加するなど、航空機設計者として広く業務に携わってきた。
1999年にStructural Dynamics Research(SDRC)に入社。SDRCはその後、シーメンスPLMソフトウェアに買収されているが、同社でプロダクトマーケティング部、ビジネスコンサルティング部を経て、エンタープライズセールス本部 統括本部長として営業活動にあたった。
シーメンスPLMソフトウェア入社後はマツダや日産自動車、キヤノンを担当。以後、プロダクトマーケティング、コンサルティング部長、営業を経て、代表取締役社長に就任した。内部昇格による社長就任で、島田氏は「これまでのシーメンスにあっては特殊な存在では」と述べている。なお、島田氏は米Siemens PLM Softwareのバイスプレジデントも兼任している。
島田氏は日本の製造業の現況を、「民主党政権が内需拡大を掲げているが、現状は外需頼みだ。日本企業が生き残るにはグローバルに(事業を)展開しなければ勝ち目がない」とまとめる。その上で、「プロダクトライフサイクル管理をグロバールに展開できる唯一の企業がシーメンスPLMソフトウェアだ」と強調する。
「(PLMシステムの)Teamcenter 2007.1では、1拠点にデータベースを配置すると、そこへリモートで接続してCADデータを設計に活用できる。セキュリティ上の懸念から中国にデータベースを起きたくないといった要望があるが、日本にCADデータを起きつつ、遠隔からデータを活用できるのが特徴だ」と島田氏。「本当にグローバルに展開するためのスケーラビリティに耐えられる製品はシーメンスだけ」と述べている。
PLM製品の特徴は「時間の短縮にある」という。製品の設計から開発、立ち上がりまでの期間が短ければ短いほど、コストをおさえて製品を市場に投入することが可能になる。加えて、現在のPLM製品にはマーケティング機能も欠かせないという。「売れる製品を詰めていくことで、製品収益率を最大化でき」、かつ「さまざまな製品バリエーションを持つことにより、製品の寿命を長くすることができる」(島田氏)からだ。
シーメンスPLMソフトウェアは「お客様を絶対に成功させる」ことを掲げ、今後も「お客様中心という方針は絶対に変えない」としている。島田体制では、これまでの強みだった大企業向けの販売に加え、中堅中小企業を「メインストリームビジネス」と定義して拡販に注力する。
同社はこの5月、上海万博でデジタル製品開発ソリューション「NX」に関する新発表を控えている。島田氏は「今までのプロダクトライフサイクル管理とはレベルの違う、新しいステージを見せるような製品だ」と自信をみせている。
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