ネット時代のメディアやマーケティング、必要なのは「インタラクティブ」--BRIDGE 2010 - (page 2)

岩本有平(編集部)2010年04月09日 12時26分

 これに対して高広氏は「『インタラクティブ』という単語が重要。お互いが関わり合うような仕組みをどう作るか。インタラクティブというキーワードが活用されないと、結局従来の(一方向な)メディアにしかならない」と語った。そして、そのインタラクティブという意味は“単純にコメント欄があるから双方向”という安易なメディアの作り方ではなく、“コメント欄に書きたい気持ちをどうやって起こすか”ということを考えることこそが重要だとした。

 加えて小林氏も、「それこそが相手の機微を見るという『対話』。今までのメディアの作り方は『対話』ではない」とした。「アクションしたら何かが起こるFlashがインタラクティブ、というのは違う」(小林氏)

高広伯彦氏 スケダチの高広伯彦氏

 高広氏はこれに重ねて、「クリエイティブについても2種類の考え方がある」と語る。その考え方のひとつはPCのディスプレイを額縁としてとらえて、その中で何かをするというもので、もうひとつは画面から外側に 訴えかけるために何かをするというもの。「後者のように(ユーザーが)“前のめり”になる部分をどう作るか考えないと、対話やインタラクティブは作れない」と続けた。

“日本発世界”の実現は世界の状況を知ることから

 3人はまた、世界の状況を知ることの重要も説く。

 高広氏は、Google在籍時代の話として、通信回線のコストが高いブラジルではYouTubeが高額所得者向けメディアになっていたことを説明。また、英国でネットの広告費がテレビを抜いたというニュースについて、英国ではテレビ広告費が安価であるということを紹介し「日本ならではのサービスを開発すると言っても、まず外のことを勉強した方がいい」とした。

 雑誌も国ごとにまったく違うと小林氏も語る。「海外の雑誌をそのままやっても当たらない。逆に言えば(日本語の)言語のバリアはすごい。しかし1回海外に開けば商圏は広がるので、早い内に(英語圏に)出ていけばいい」(小林氏)

 江端は、日本の市場について「要求するレベルも要求されるレベルも高いので、サービスのレベルを向上させる機能があると思う」とコメント。さらに世界で携帯電話の定額通信サービスが普及すればサービスや技術が海外に出て行くのではないかとした。

 イベントの最後は、パネリスト3人によるネット業界への応援メッセージで閉められた。「何でもやってみるのがいい。好きだったら続けていけばいいし、嫌なら辞めればいい。ちょっとずつ知っていることも重要」(江端氏)、「(参加者の上司や経営者に向けて)GoogleもAltaVistaをはじめとした無数の屍の上にある。若いうちに失敗した方が、ナレッジもたまる。それを許容する社会にして欲しい」(小林氏)、「日本の広告業界は大きな企業になればなるほど転職を怖がる人が多く、流動性が低い。ほかの業界やメディアを知っておいたほうがいい。また、翻訳で本が出てから読むのはやめて、海外の本を英語で読んで勉強するということがあってもいいのではないか」(高広氏)

 このイベントは、経営コンサルティングを手掛ける本荘事務所の本荘修二氏、IBM Venture Capital Groupパートナー日本代表の勝屋久氏らIT業界の有志で組織する「BRIDGE 2010実行委員会」が企画したもの。次回は5月13日に「REVITALIZE〜地域を活かす! ITを活かす!」のテーマで開催される予定。

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