2011年にアナログテレビ放送が停波した後の空き帯域を利用した携帯端末向けの次世代放送サービス「マルチメディア放送」が、本サービス実施に向けて準備を進めている。3月8日に開催されたサービスイメージ発表会では、端末自体を傾けたり振ったりすることで操作できる新たなユーザーインターフェースが披露された。
マルチメディア放送は、放送波を利用して動画などのコンテンツをユーザーに届ける携帯端末向けの有料多チャンネル放送サービス。大きく分けて蓄積ダウンロード型の「ファイルキャスティング」とライブ配信型の「ストリーミング」の2つがある。蓄積型ではユーザーの好みに合ったものを放送局が配信するリコメンド機能もある。国内ではNTTドコモや放送局、電通などが出資するマルチメディア放送(mmbi)が実用化に向けて開発を進めている。
今回開発されたユーザーインターフェースは、端末の加速度や傾きに応じて、表示画面切り替えやコンテンツの選択ができるというもの。「ユーザーの動きに対応した直感的なサービスを提供するというコンセプトの下で開発された。サービスを提供するための基盤、ツールとして非常に重要な役割を果たす」(mmbi)とのことだ。
「近年の成功事例をみても、ユーザーインターフェースが鍵を握ることは多い」との考えから、タッチパネル操作だけでなく、これまでにない方式の開発にも意欲をみせている。
このほか、マルチメディア放送では33セグメント連結送信を可能とするための変調器を試作した。これは次世代携帯端末向け放送サービスに与えられる14.5MHz(地上波放送の約2.5チャンネル分に相当)の帯域内で一括送信するために必要な技術で、円滑なサービス運営には必要不可欠なもの。今回のデモでは13セグメント分を受信可能な端末2台とスペクトラムアナライザを利用して、33セグメント分の一括送信に成功していた。
また、視聴途中のファイルを家庭用テレビなどの外部モニターに出力するデモも披露した。携帯端末から無線でPCに再生指示を送り、そこから有線(HDMI)で家庭用テレビに表示するという方法だった。将来的には、「(PCを経由しない)直接的な外部出力や通信経由の鍵認証による再生なども考えられる」とのことだ。
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