低コストという側面は、大体において、既存の送電線網を利用せずに電力が消費される現場で効率よく発電できるという、燃料電池の特質から生まれたメリットだ。「送電と配電で約20%の電力が失われる。したがって、(燃料電池の)大きなメリットの1つは、このような送配電時のロスがないということだ」とFisher氏は指摘する。
だが、大半の利用者は、Bloom Boxでの発電に使用するエネルギー源については、今後も現状と同レベルの料金を支払わなくてはならないだろう。バイオ燃料は将来的なエネルギー源としてもてはやされているが、大半の利用者にとっては、今のところ現実的な選択肢ではない。Fisher氏によると、(eBayが現在利用している)天然ガスが、近い将来においては最も現実的なエネルギー源だという。
Bloom Energyでは、光熱費を節約できるので、Bloom Boxを導入後3〜5年以内に元が取れると主張している。Sridhar氏は、天然ガスを利用した場合、Bloom Boxは1kW時あたり8〜10セントの費用で発電できると述べている。だが、これは、一部のケースで、通常の電気料金よりも安く済むというレベルにすぎない。
既に疑問の声も数多く寄せられているBloom Energyの目標の1つが、最大出力1kWの家庭向けBloom Boxを発売するという構想だ。1kWというと、机上論では非常に効率的に聞こえるが、現実的には家庭で送電線網を全く利用せずに済ませるには足りない発電量だ。より現実的な数字は5kWだという厳しい声もあがっている。
Bloom Boxは、製造面の課題にも直面している。Sridhar氏によると、タイルは、「半導体業界がかなり以前に開発した大量生産技術」を利用して生産されるという。だが、半導体の製造行程はこの技術特有のさまざまな問題を抱えている。Bloom Energyが目標として掲げる、世界市場に向けたタイルの大量生産を開始すれば、同社はこうした問題の克服を迫られることになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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