[ブックレビュー]目をそらしていた事実を直視する時--「生き残るSE」

日本実業出版社
篠田庸介
詳細:単行本(ソフトカバー) / 240ページ / 日本実業出版社 / 価格:¥ 1,575 / 著者:篠田 庸介 / 発売日:2010/01/23 / 外形寸法 (H×W×D):19.0cm × 13.2cm × 1.6cm / 重量:0.3 kg
内容:厳しい経済状況の中、SEが生き残っていくためには必要なものは何か? 技術だけではなくリーダーシップやコスト感覚も身につけなければこの業界を生き残ってはいけないという。働くこと、給料をもらうこととは何かを考えさせられる。

 システム・エンジニアが、厳しい経済状況の下で生き抜き、これから先もこの仕事で食っていくためには何が必要なのか。迷えるSEにとって、自分の目指す道を指し示してくれる答えの1つが、ここにあるのかもしれない。

 ここまでハッキリ言う人も珍しいのではないか。冒頭から「途方もなく暗い日本人SEの未来」とくる。なんとなく気付いてはいたが、目をそらしていた(もしくは、目をそらしていたかった)事実を、次から次へと目の前に突き出してくる。日本のIT業界には、未来などないかのようだ。

 このような状況下で、自分には正当な報酬が支払われていないというのなら、「自分がどれだけ会社に利益をもたらしているかを考えよ」と言う。これは、独立すれば誰でも「会社にいて、毎月決まった給料を支払われるありがたみ」を実感するものだが、会社員しか経験したことがないと実感がわきにくい。しかし、会社に所属するならば、利益や経費を考えて仕事をし、自らの働き方に責任を持たなければならないのだ。そのことを、反感を買うことを恐れずに、正直に毅然として述べている。

 著者は、決してSEを絶望させようなどと思って言っているのではない。厳しい状況だからこそ、現実と向き合い、日本のIT業界を盛り上げていこうという、熱い思いがあってのことだ。ただ悶々と不満をかかえて過ごしているのならば、このような言葉に渇を入れてもらうのも悪くない。

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