システム・エンジニアが、厳しい経済状況の下で生き抜き、これから先もこの仕事で食っていくためには何が必要なのか。迷えるSEにとって、自分の目指す道を指し示してくれる答えの1つが、ここにあるのかもしれない。
ここまでハッキリ言う人も珍しいのではないか。冒頭から「途方もなく暗い日本人SEの未来」とくる。なんとなく気付いてはいたが、目をそらしていた(もしくは、目をそらしていたかった)事実を、次から次へと目の前に突き出してくる。日本のIT業界には、未来などないかのようだ。
このような状況下で、自分には正当な報酬が支払われていないというのなら、「自分がどれだけ会社に利益をもたらしているかを考えよ」と言う。これは、独立すれば誰でも「会社にいて、毎月決まった給料を支払われるありがたみ」を実感するものだが、会社員しか経験したことがないと実感がわきにくい。しかし、会社に所属するならば、利益や経費を考えて仕事をし、自らの働き方に責任を持たなければならないのだ。そのことを、反感を買うことを恐れずに、正直に毅然として述べている。
著者は、決してSEを絶望させようなどと思って言っているのではない。厳しい状況だからこそ、現実と向き合い、日本のIT業界を盛り上げていこうという、熱い思いがあってのことだ。ただ悶々と不満をかかえて過ごしているのならば、このような言葉に渇を入れてもらうのも悪くない。
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