いかにアプリを見つけてもらうか、ダウンロードしてもらうことを習慣づけるか。──アプリ開発メーカーとiPhoneを販売するソフトバンクモバイルはこの課題をクリアしていく必要がある。
YaCCが指摘するもう1つの秘策が、「アプリ一点買い」である。
「ライトユーザーの場合、1つのアプリがフックになってiPhoneを買う人もいます。例えば今まで3万円以上出して電子辞書を買おうとしていたユーザーが、iPhoneだと5000円もあれば全ての辞書が揃う、とわかったら、ケータイをiPhoneに機種変更した上で、電子辞書アプリをダウンロードしてから店を出て行く、と言う方もいます」(YaCC)
先日取材してきたナイキでも同様の話を聞いた。サッカーの世界最高のコーチや選手が監修してトレーニング方法とプランをサポートしてくれるアプリ「マスターコントロール」は、サッカープレーヤーとともに、少年サッカーのコーチをしているお父さんにも重宝がられているという。
こういうユーザーがコーチ仲間にiPhoneのアプリを見せられて「うちの子にもセスクのテクニックを学ばせたい」と思った瞬間、iPhoneへの機種変更のきっかけが生まれるのだ。
ソフトバンクは、池袋に新たにオープンした量販店のフロアに、巨大なiPhoneアプリのプレゼンテーションスペースを設けた。これは、「販売店のメディア化」と「アプリ一点買い」の両方をかなえる施策である。ジャンルごとにアプリを紹介する什器を用意し、リアルに登場した、店内を歩けるApp Storeとでも言うべき場所だ。
ユーザーに対して、iPhoneの裾野を広げる活動、App Storeからアプリを見つけてダウンロードしてもらう活動を積極的に展開するソフトバンク。これと共に、アプリを開発したり、iPhoneをはじめとするスマートフォンでビジネスを展開する企業のサポートも必要だ。
YaCCは「キチンと収益化しているアプリ開発者は一握りという状況が見えてきています。このままでは3〜4年後のApp Storeは非常に心配。2010年は、スマートフォンのビジネスに関して、非常に良く議論する必要があるのではないか」と語る。
本連載でも2010年以降、このテーマにも触れていきたい。
慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。嘉悦大学、ビジネスブレイクスルー大学でも教鞭をとる。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。スマートフォンビジネス専門メディアAppetizer Japan編集長。
TBSのラジオ番組「J-sky」でCLAMPとともにパーソナリティーを務める傍ら、広告代理店でイベントディレクターとして「DHC」、「TOYOTA」「コカ・コーラ」など、数々のイベントを手がけ、現在はiPhone事業に従事。iPhoneのスペシャリストで、アプリチェック数は8万を越える。
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