Virgin Mediaは、同社ネットワークにおける違法なファイル共有の実態を測定する取り組みの一環として、顧客のデータパケットを監視する予定である。
Virgin Mediaは英国時間11月26日、Deticaが提供するディープパケットインスペクション技術の試験を実施し、音楽会社やそのほかの権利保有者に代わって、同社ネットワークでの違法なファイル共有の実態を測定する予定だと発表した。
Virgin Mediaの広報担当者は26日、ZDNet UKに対して、顧客は試験前に同意を求められることはなく、データは匿名化されると述べた。
同広報担当者は、「ディープパケットインスペクションの要素がある」と述べ、「この試験にはオプトインもオプトアウトもない。個々の顧客に影響を及ぼすことがないからだ」と語った。
この試験は、Virgin Mediaの顧客約40%をカバーする予定で、Deticaが提供する「CView」という製品を使用する。BAE傘下のDeticaは、これまで主に法執行機関や情報機関のみを相手に事業を展開してきた。Deticaは情報収集に関連する製品を提供している。
Deticaのメディアアカウント担当ディレクターであるDan Klein氏が26日にZDNet UKに述べたところによると、CViewでは、ウェブトラフィックはまずネットワークデバイス、すなわち「ブラックボックス」に入、そこでIPアドレス情報が廃棄されるという。その後、そのデータパケットは、「BitTorrent」と「Gnutella」「eDonkey」という3つの主要なファイル共有プロトコルのいずれかに準拠しているかどうかを確認するためにスキャンされる、とKlein氏は述べた。
「それ以外のことは何も確認しない。われわれには十分な処理能力がないからだ」とKlein氏は述べた。
パケットが実際にそれらのプロトコルに準拠している場合、中のデータがライセンスされたものかどうかを確かめるために、そのパケットを開く。Deticaは現在、ファイルに含まれるデータがライセンスされたものかどうかを確認する手段として、「Shazam」や「Gracenote」「Digimark」「Audible Magic」などのさまざまな音楽識別製品をテストしている。
データの暗号化はCViewに大きな問題を引き起こす、とKlein氏は付け加えた。「データパケットの暗号化は、われわれにとって困難な問題になるだろう」とKlein氏は述べた。「われわれは、それを打ち破ることに処理能力を注ぎ込むつもりはない」(Klein氏)
Virgin Mediaのブロードバンド担当エグゼクティブディレクターであるJon James氏は26日、ZDNet UKに対し、この試験を「数日以内」に開始すると述べた。こうしたトラフィック監視技術を使用することは、Virgin Mediaがメディア企業のUniversalと締結した配信契約に含まれている、とJames氏は付け加えた。
プライバシー活動家は、Virgin Mediaが顧客の同意を得ずに今回の試験を実施しようとしていることに「非常に失望」しており、これは欧州のプライバシー法に違反している可能性があると述べた。
NoDPIのAlex Hanff氏は、「われわれは、Virgin Mediaがこの技術の試験を開始することに非常に失望している」と述べた。「これは、通信の傍受には同意または令状のいずれかが必要であると定めた電子プライバシ指令(e-Privacy Directive)に違反している、とわれわれは感じている」(Hanff氏)
Hanff氏は今回の試験を、British Telecom(BT)が2006年と2007年に顧客の同意を得ずに実施した行動ターゲティング広告技術「Phorm」の試験になぞらえた。Phormの試験を受けて、欧州委員会は2009年10月、英国政府に対して同国のプライバシー保護対策を強化するよう命じた。
Virgin MediaはZDNet UKに対し、同社は法律に関するアドバイスを受けており、今回の試験は捜査権限規制法(Regulation of Investigatory Powers Act:RIPA)にもデータ保護法(Data Protection Act:DPA)にも違反しないと述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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