三洋電機は10月29日、創、蓄、省エネ技術を融合し、効率的にエネルギーを活用するエナジーソリューション事業に参入すると発表した。CO2削減と省エネを目指す。
エナジーソリューション事業とは、太陽電池で発電した電力を2次電池に蓄電し、その電力を効率的に活用できるようコントロールするというもの。太陽電池による創エネ、2次電池による蓄エネとエナジー事業で培ったノウハウを投入し、取り組む。
代表取締役社長の佐野精一郎氏は「太陽電池事業は成長路線をキープしているが、参入企業の増加により市場競争は激化している。2004年度には日系メーカーで生産量シェア40%を確保していたが、2008年のシェアは14%にまでダウンした。一方、2次電池市場についてもここにきて成長スピードが落ちている状況だ。今最も大きな課題はグローバル競争の中で市場規模の拡大と収益性の向上を図ること。そのためにも新たな価値を持つビジネスモデルの創出が必要になる」と、新事業参入の背景を話した。
エナジーソリューション事業として提供するのは、クリーンエネルギーを効率よく蓄え、使用する「スマートエナジーシステム」(SES)。太陽電池、2次電池、パワーコンディショナーなど同社がエナジー事業で培った製品技術を取り入れるとともに、ショーケースなど業務用機器と組み合わせて、省エネまでをサポートする。
提供先は、工場や高層ビルなどの大規模、店舗やマンションなどの中規模、ガソリンスタンドや一般家庭などの小規模の3つを想定している。実証実験として2010年7月に完成予定の三洋電機HEV用2次電池新工場(兵庫県)に、SESを導入するとのことだ。
また、大容量、高電圧のリチウムイオン電池システムの開発も推進する。これは太陽電池で発電したエネルギーを蓄電するためのもので、1kWh以上の大容量・高電圧システムになることが特長。厳密に温度を管理することで、電池の劣化を防止するという。2010年3月の市場投入を予定しており、携帯電話基地局のバックアップ用電源を皮切りに利用していくという。
エナジーソリューション事業では他社とのコラボレーションも重視していく方針だ。すでにコンビニエンスストアのローソンに太陽光発電システムなどを導入し、実証実験にも取り組んでおり、店舗のCO2排出量削減効果をモニタリングしているとのこと。このほか、徳島県庁に設置した「ソーラー駐輪場」、甲板に太陽電池を設置し発電する商船三井との共同開発プロジェクトなどを推進しているとのことだ。
本格的な事業化は2010年春を予定。「2015年には2次電池事業の世界シェアナンバー1のポジションを堅持することと、現在グローバルで10番目の太陽電池をトップ3にまで成長させることを目指す。エナジーソリューション事業において、既存事業とは別に1000億円を売り上げたい」(佐野氏)とした。
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