日本電気硝子は先週9月24日、2010年3月期9月中間期の連結業績について上方修正を発表した。これに伴い、7月下旬以降一貫して下落トレンドを強いられてきた株価に反転上昇の期待感が高まってきた。
同社は9月24日、9月中間期の連結業績予想を以下のように上方修正した。売上高は従来予想の1340〜1440億円から1430億円(前年同期比29%減)へ、営業利益は210〜270億円から330億円(同49%減)へ、純利益は60〜100億円から150億円(同56%減)へとそれぞれ上方修正した。液晶などフラットパネルディスプレイ用ガラスの需要回復に加え、コスト削減が功を奏した。
さらに、同社は第3四半期の2009年10〜12月の業績見通しについては、前年同期比で15〜30%程度の増収、営業利益については80〜120%(2.2倍)程度の増益を予想すると発表した。この第3四半期の業績見通しの背景については、フラットパネルディスプレイ用ガラスについて引き続き堅調な需要増加が予想される上に、生産性向上やコスト低減の推進を通じての収益回復が見込めるためだ。
フラットパネルディスプレイ用ガラスの需要が回復している背景には、液晶テレビ販売の予想を超える好調ぶりがある。日本国内での、家電製品へのエコポイント制度導入の効果や、中国政府による特定の家電製品を購入する消費者に対して補助金を支給する「家電下郷」という消費刺激策などが功を奏して、国内、中国、その他アジア地域で液晶テレビが好調な売れ行きを示していることが挙げられる。
電子情報技術産業協会(JEITA)が9月24日に発表した8月の民生用電子機器の国内出荷金額は、前年同月比11.2%増の2202億円と好調な結果となった。中でも8月の薄型テレビ国内出荷台数は、前年同月比54%増の102万6000台と非常に高い伸びを示した。7月よりも増加率が13ポイント拡大した。ボーナス商戦時期の6〜7月の後で、通常8月は需要閑散期に当たる上、昨年9月のリーマン・ショック前の8月との比較での大幅な伸びだけに、液晶テレビの好調さが際立っている。
同社の場合、液晶用ガラスの営業利益が、出荷数量増を背景とする想定以上の生産性改善などで上ブレたほか、プラズマ用ガラスの数量上乗せなども追い風となった。今期の第4四半期(2010年1〜3月)以降の需要動向に不透明感があるものの、現在の900円台前半の株価水準は、中期スタンスの投資であれば大いに注目できそうだ。
同社の株価は、7月24日に年初来高値の1151円を付けて以降、緩やかながら一貫して下落基調にあり、9月18日には900円を割って873円まで売り込まれる場面もあった。先週末25日の終値911円で試算した連結PERは15.1倍と割安水準にある。業績の順調な回復を追い風にして、中期的には1100円台を目指した反転上昇相場に復帰する可能性が高そうだ。
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