BCNは9月9日、薄型テレビやデジタルカメラ、携帯オーディオ、PCの各市場に関する分析内容を明らかにした。同社アナリストである道越一郎氏は、各市場について「販売台数が伸びても金額が伸びず、ビジネスとして確立するための対応が必要になっている。なかには、最近になってその効果が出始めている市場もある」と説明している。
薄型テレビ市場は、「エコポイント」制度やボーナス商戦の効果もあり、7月の販売台数が前年同月比54.2%増、金額が同30.2%増となった。8月の販売台数も同52.2%増、金額は同28.7%増となっている。
メーカー別の販売台数シェアは、依然としてシャープが1位を維持している。2位には、東芝がソニーとパナソニックを抜いて浮上した。道越氏は東芝が浮上した理由として、「ボリュームゾーンである30〜40型テレビの平均単価が10万円を切ったことで、30〜40型テレビを中心に展開している東芝がシェアを拡大した」と分析。また、「シェア1位を獲得するには、大きいサイズのテレビにも力を入れ、単価を上げる必要がある」と指摘した。
デジタルカメラ市場では、コンパクトカメラの販売台数・金額が、ともに6カ月連続で前年割れを記録している。道越氏は、「コンパクトカメラは1万円台後半が多く、低価格化が課題」とし、「2009年の販売台数は2007年の水準に戻りつつあるが、金額の戻りが鈍い」と続けた。一方で、高速連写や完全防水、10倍以上のズーム倍率の機能を搭載したモデルの登場により、「製品を選ぶ際の新たな価値軸になりそう。また、コンパクトカメラの単価をあげる要因になるのではないか」(道越氏)と分析した。
一眼レフは、伸び率が鈍化しているものの、かろうじて前年を上回る水準という。このような状況の中でオリンパスは、7月に発売した「OLYMPUS PEN E-P1」によりシェアを拡大。「9万円以上と多少値段が高くても売れることが証明された」(道越氏)とコメントする一方で、「どこまで継続的に売っていけるか」という課題を挙げた。
携帯オーディオ市場では、販売台数の週次シェアで、アップルが242週ぶりに2位に転落した。替わりにソニーが首位を獲得し、累計の販売台数と販売金額のシェアも徐々に縮めているという。ソニーは、1万円台前半で購入できる「WALKMAN S」シリーズを主力として順調に売り上げを伸ばしているとしている。また、家で音楽を聴くユーザー向けにスピーカーをセットにして販売したことも要因として挙げている。
PC市場では、ネットブックが3割前後の販売台数で安定し、平均単価も下げ止まらない状態という。「Windows 7」の買い換え需要や、モバイルインターネット端末などの新しい流れが必要になると提言している。
全国22社2301店舗のPOSデータを集計した「BCNランキング」をもとに、平均販売単価や販売金額を前年同月比としてまとめた「BCN指標」を用いて分析している。
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