ソフトバンクは7月30日、2010年3月期第1四半期(4〜6月)の連結決算を発表した。中でも移動体通信事業が伸びたことにより増収増益を達成している。
売上高は6663億円で、前年同期比190億円(2.9%)増となった。営業利益は1082億円で、前年同期比232億円(27.3%)増となり、四半期ベースの営業利益としては創業以来初の1000億円を突破した。
一方で、先に業績発表をしているKDDIは売上高2%減、営業利益14%増と減収増益、同日発表したNTTドコモは売上高7%減、営業利益は15%減と大幅な減収増益となっている。「この3社の中で1社だけ、増収増益を実現できた」とソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は笑顔を見せた。
各キャリアが厳しい結果となった中で、ソフトバンクの増収増益を牽引したのは移動体通信事業だという。移動体通信事業の売上高は4073億円で、前年同月比は+9.3%(347億円)。営業利益は602億円、前年同月比で見ると+36.1%(159億円)。
純増契約数を26カ月連続でNO.1を維持するなど顧客基盤を拡大。移動体通信事業のキャッシュフローについて、「実は至ってシンプル。顧客が増加し、1契約あたりの現金収入が一定であれば、客が伸びた分だけ、キャッシュフローが増加する。これが私どものキャッシュフローの公式」と説明した。
契約者1人あたりの平均利用料にあたるARPUは4030円。四半期の音声ARPUは2150円で、データARPUは1880円。いずれも直前四半期よりも大きく改善した。
純増や販売台数の増加の要因は、発売から1年が過ぎても伸び続ける「驚異的なロングセラー」というiPhone 3G/3GSの伸びと、2006年秋から開始した割賦販売の端末が満期を迎えたことにあるという。
「24カ月の割賦販売期間が過ぎて一巡し、正常な状態として見られる状況になってきた。まずは私どもが影響を受けて、今はドコモやauが影響を受け始めている。まだ始まったばかりだが、彼らも24カ月を過ぎれば、端末の台数が下がっていくのは底を打つ。われわれが先に底打ちがやってきたということだと思う」と説明した。
ソフトバンクは2009年度、営業利益4200億円(前年同期比608億円)、フリーキャッシュフローは2500億円(前年同期比684億円)を予想している。第1四半期の実績は先のとおりだが、これについて「2008年10月、世界経済が混乱しているときにあえて数字を発表した。1年半後のフリーキャッシュフローを発表するのはなかなかないこと。これが実現できるのか、その時点では信じていない方が多かったと思う。実現には自信をもっているが、仮に第2四半期から第4四半期が仮に前年対比で横ばいだったとしても、2500億円の年間のフリーキャッシュフローのコミットメントは実現できるのではないか」と話した。
なお、現時点で、年間の営業利益およびフリーキャッシュフローの上方修正は考えていないという。
また、純有利子負債が2008年度で約1.9兆円あるが、増収増益を継続し、今後3年間で1兆円前後のキャッシュフローを創出することにより、2011年度には純有利子負債を半減することを目標とするという。さらに2014年度には実質ゼロにし、実質無借金経営を目指すとした。
キャッシュフローの源泉として掲げたのは、1.移動体通信事業、2.固定事業、3.ヤフーの3つ。
移動体通信は、SMAPをCMキャラクターに起用し、好感度1〜8位までのタレントやキャラクターを獲得。さらなるブランディングを強化していく考えを示した。なお、SMAPの新CMを8月1日18時59分より全国放送で1分間に渡って放送するという。
ヤフーは増収増益を継続しており、Yahoo!BBのブロードバンド事業やソフトバンクテレコムの通信事業など、固定事業も好調だという。NTT東西やKDDIが低迷する中、Yahoo!BBは営業利益が662億円と、トップに立った。「固定事業も着実に営業利益、キャッシュフローが増えている。健全な事業になった」と説明した。
また、ソフトバンクは「アジアNo.1インターネットカンパニー」を目指し、中国市場での取り組みに力を入れている。ソフトバンクは、ソーシャルネットワーク「Xiaonei」の筆頭株主になるなど、中国での投資にも積極的だ。
「中国なしには語れないという時代がきている。ここで取り組まなければ事業家としていかがなものか、というぐらい中国は大事」と孫氏は中国の重要性を強調する。ソフトバンクは、生活するすべての場所と人に情報革命を起こし、21世紀のライフスタイル・カンパニーになりたいと展望を語った。
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