「デザイン」というと、デザイナーと呼ばれる人だけがするのように思われるが、実はそうではなかった。ビジネスパーソンが仕事のやり方としての「デザイン思考」を身につけることによって、今までとは違うものの見方が可能となる。
「デザイン思考の仕事」とは人間中心の仕事だという。人間の生活や生き方そのものを改善したり、豊かにしたりするために、製品やサービスを提供するとき、売るために戦略や計画を練るのもデザインの一部なのだと。
本書では、フィールドワークによる調査、カードを用いてデータを図解、論文等にまとめるKJ法を使った発想の展開、ペルソナやシナリオの作成、全体を俯瞰するための図解化、文章化など、さまざまな方法を巧みに組み合わせて、実際の仕事のやり方にまで落とし込み、一つひとつの手順と目的を詳しく解説している。また、ありがちな誤解をあらかじめ挙げておき、正しいやり方との違いを丁寧に説明しているのも、今まで「デザイン思考の仕事」になじみのない者には分かりやすい。
最終章では、人の立場になってみる、自分を客観的に見てみる、など個人のありようについてかなりページが割かれており、自己中心的な枠組みから離れることの大切さに気づかされる。しかし個人で終わりではなく、人と人とのコラボレーションからも突破口や新しい発想は生まれる。すべては人々の生活を豊かにする仕事につながるのだ。
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