社内SNS導入によるコミュニケーション活性化のメリット

 7月16日および17日、東京国際フォーラムにおいて次世代のコミュニケーション&マーケティングをテーマにした3イベントが同時開催された。17日には「BusinessBlog&SNSWorld 2009」のセミナーとして、Beat Communicationの代表取締役社長である村井亮氏が「ソーシャルテクノロジーと企業戦略」について講演した。

 Beat Communicationは、2003年に国内で初めてSNSを、また2004年には世界で初めて社内SNSを提供した企業だという。村井氏はまず、社内SNSに限らず新しいテクノロジーを導入する際に重要なこととして、「POST」という考え方を紹介した。POSTとは、「人間(People)」「目的(Objectives)」「戦略(Strategy)」「テクノロジー(Technology)」の頭文字を合わせたもの。

Beat Communication代表取締役社長の村井亮氏Beat Communication代表取締役社長の村井亮氏

 人間とは、顧客がどのようなテクノロジーを使う傾向があるのか、どのような活動になら参加する可能性があるのかを知ること。目的とは、ゴールを明確化すること。戦略は、顧客にメッセージを広めてもらいたいのか、顧客との距離を縮めたいのかといった目的に合わせて組み立てること。そしてテクノロジーは、人間、目的、戦略の定義に最適なソーシャルテクノロジーを選択することが重要であると述べた。SNS導入に失敗する原因として、このPOSTを十分に練っていないことが挙げられるという。

 続いて村井氏は、社内SNSの導入事例を紹介した。三井不動産レジデンシャル千葉支店では、社内コミュニケーションの活性化、クレド(行動指針)の共有、気づきの継承といった社内問題を解決するためにSNSを導入した。同支店の従業員165名全員が登録し、休日を含む毎日、最低1回はログインしている。これによって、物件に対して社員全員が発言できるようになり、社員同士の絆が深まって個人の仕事へのモチベーションが向上した。

 インテルでは社内SNSをグローバルに展開し、世界120カ国8万6000人がEラーニングに活用している。派遣事業を行っているIPテクノサービスでは、派遣先で過ごすことが多い社員に、本来の勤め先である同社社員の横のつながりを強化するために導入し、Q&AとWikiにより知識を共有して業務効率を向上している。アクセンチュア、東芝ソリューション、NTTデータなども、この点を重視して社内SNSを活用している。

 また、井筒屋では交替制勤務における従業員の交流のほか、Twitterのような「つぶやき機能」によって社員の気持ちを敏感に察知し、会社の健康診断として利用している。日本興亜損保ではOBやOGも積極的にSNSに参加することで、女子社員の産休や緊急時の応援など、引退した人に活躍の場を与えている。これにより新規採用や教育のコストの削減にも役立っているという。

 最後に村井氏は社内SNS「Beat Office」の機能を紹介した。同サービスには日記やスケジュールといったSNS機能のほかに、仕事用のファイルを共有できる機能やQ&A、スケジュール、アンケート、ブックマーク、社内wiki、コミュニティ、携帯電話向け、GoogleMap連携、動画配信オプションなどの機能がある。さらに企業向けTwitter「yammer」を紹介し、社内コミュニケーション活性化の重要性を説明した。

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