米国の国民と研究者は、どちらも科学の進歩を大いに尊重している。しかし、米国の科学を巡る両者の状況認識には隔たりがある。
Pew Research Centerが米国時間7月9日に発表した調査結果(PDFファイル)によると、米国民の84%は科学が社会に与えてきた影響はおおむね好ましいと考えているという。そして、70%は科学者が社会の幸福に多大な貢献をしていると感じている。
しかし、米国の科学分野での業績が世界で最も優れていると考える米国民は、わずか17%である。これとは対照的に、調査対象となった科学者の49%は、米国の科学は他国と比較して今でも一番だと感じている。
米国民は、ここ10年間で米国の科学力は低下したと考えている。最新の調査で、米国の最も重要な業績の1つとして科学的進歩を挙げた人はわずか27%で、1999年5月の調査時における47%から大幅に減少した。
科学者の側にも懸念はある。調査対象となった科学者のうち、85%は米国民の科学的知識の欠如を重大な問題と見なしている。約半数は、科学進歩に対する米国民の非現実的な期待を批判している。
メディアにも責任の一端がある、と科学者たちは言う。ニュースは科学を単純化しすぎている、と約48%の科学者は述べている。メディアの中で最も高い評価を獲得したのは新聞報道。新聞報道については、36%の科学者が非常に優秀(excellent)または優秀(good)と評価している。しかし、科学に関するテレビ報道について、非常に優秀または優秀と評価する科学者はわずか15%であった。
今回の調査では、ほかの問題についても、科学者と米国民の認識が異なっていることが明らかになった。
大半の科学者は進化を固く信じており、87%が人類を含む生物は自然淘汰などの過程を経て、時間をかけて進化してきたと述べている。米国民で同様の考えを持つ人は、わずか32%である。
84%の科学者は、地球温暖化は化石燃料の燃焼など人類の行為によって発生すると述べているが、これに同意する米国民はわずか49%にすぎない。
今回の調査では、米国民の科学的知識を測定する簡単なテストも実施したが、結果はまちまちだった。調査対象者の91%は、アスピリンが心臓発作の予防に使われることを知っていた。約82%は、GPS技術は衛星を利用している、と答えている。一方で、レーザー技術は音波を利用しているのではない、ということを知っていた人はわずか47%だった。また、電子が原子よりも小さいことを記憶していた人は、46%しかいなかった。
米国民を対象とするPewの調査は、2001人の成人を対象に、4〜6月に電話で実施した。科学者を対象とする調査は、米科学振興協会(American Association for the Advancement of Science:AAAS)のメンバー2533人を対象に、AAASと共同で5〜6月にオンラインで実施した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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