Microsoftが家庭の光熱費を節約することを目的とするビジネスに参入するというのはあり得ないことのように聞こえるかもしれないが、同社の最高研究戦略責任者(CRSO)であるCraig Mundie氏にとって、これはソフトウェア会社の新たなビジネスとして当然考えられるものの1つであるという。
Mundie氏によるとMicrosoftは、社会が大きな費用を支払っているにもかかわらず、望み通りの見返りを得られていない分野のなかで、テクノロジによってその状況を改善できるものに目を向けているという。
Mundie氏によると、特にエネルギー消費は広い意味で環境問題であり、教育やヘルスケアといった他の困難な課題に続いてMicrosoftが取り組む分野として当然であるという。Microsoftは米国時間6月24日、公式に「Hohm」を発表した。これは、家庭においてエネルギー使用量を監視することを支援したり、ガス代や電気代を節約するためのティップスを提供したりする無償のサービスである。
Mundie氏は、Microsoftがまず家庭市場に目を向けた理由として、米国全体では3650億ドルが電気代に費やされており、そのなかで家庭用が1600億ドルを占めていることを挙げている。
同氏は「大手企業は既に特別な契約を締結している」と述べ、エネルギー使用状況の監査とエネルギー使用の削減に同意することで、より低い単価で供給を受けている企業があることを引き合いに出している。また同氏は「ある意味において、彼らは(Hohmのようなサービスを)それほど必要としていないのである」とも述べている。
Mundie氏は、「Niagara」という開発コード名で呼ばれていたHohmが、エネルギー分野における約2年に渡る取り組みの成果であると述べている。またHohmは、Microsoftが2008年にリリースしたクラウドベースのOSである「Windows Azure」上で稼働する最初の商用サービスの1つでもある。
しかしここで、人々が家庭においてエネルギーを消費しているものが何なのかを分かっていないということが問題なのか、あるいは彼らがただ単に無関心であることが問題なのか、という大きな疑問が湧いてくる。
Mundie氏は「それが分かっている人はいない」と述べたうえで「このため、やってみるわけだ」と述べている。
しかしGartnerのアナリストであるMartin Reynolds氏は、エネルギー消費の削減における最大の障壁が、われわれの無知ではなく無関心にあるという状況が見えてきつつあると述べている。同氏は、ガス代が3倍に値上がりしても、ほとんどの米国人はエネルギー消費形態を大きく変えるのではなく、高いガス代を支払うことを選ぶだろうと述べている。
Reynolds氏は同じことが家庭における課題となると述べるなかで、家族に対してヒーターをつけるよりもセーターを着たらどうかと言うと冷たい反応が返ってきたという例を引き合いに出している。
一方Microsoftは、エネルギー消費そのものか、光熱費のいずれかに関心を寄せる人々の数が十分多いため、投資が回収できると判断している。
このビジネスモデルは完全に明確とはなっていないものの、Mundie氏によると、エネルギー消費を削減できる製品やサービスをコンシューマーとつなげることと、そういった製品やサービスの広告料という双方の面から収益を上げることが可能であるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」