Associated Press(AP)が米国時間6月21日に報じたところによると、米連邦取引委員会(FTC)は、販促品や報酬を受けとって製品のレビューや宣伝を行うブロガーへの規制を実施する計画だという。
そうなれば、人を欺く不公正なビジネス行為を禁止するFTCのガイドラインによって、初めてブロガーが規制を受けることになる。
「補正が加えられる可能性はあるが、2009年の夏に承認される見込みの新しいガイドラインでは、虚偽の主張があったり利害関係が開示されていなかったりする場合、当局はブロガーに報酬を支払っている企業とともにブロガー自身をも追及できることが明確にされる」とAPの記事は述べる。
この規定はかなり厳格なものになる可能性がある。たとえば、音楽ブログから「Amazon MP3」や「iTunes」へアフィリエイト報酬が生じるリンクを張るといった、アフィリエイトリンクの実施にまで拡大するかもしれない。
ブロガーの大半は、ジャーナリストが歴史的に従ってきた倫理的なガイドラインには縛られていない。そのため、こうしたブロガーに無償で製品を提供する行為について報道されるようになって、もうかなりの期間がたつ。例を挙げると、Microsoftが数年前に「Windows Vista」が搭載されたAcerのノートPCを数十名のブロガーに無償で提供したが、これにはずいぶん悪評が広がった。
ブロガーへの報酬支払いや製品提供自体を業務とする企業も誕生してきている。APの記事ではブロガーへのインセンティブ提供(無料の旅行や製品、商品券、現金の支払い)をビジネスとするマーケティング企業がいくつか取り上げられている。その1社であるIzeaは、「PayPerPost」の開始以来、テクノロジ関係の報道分野で物議を醸している。
Izeaによると、同社はブロガーに、支払いを受けたものや無償で提供されたものについては開示を行うように求めている。しかし、提案されているFTCのガイドラインでは、ブロガーが無償提供製品や報酬について開示を行わない場合には、Izeaとブロガーの両者が責任を問われることになる可能性がある。さらにFTCは、少なくとも1件のプロモーションについて、Izeaが企業に否定的なことを書きそうなブロガーを避けたと話している事実に関して、問題にしてくる可能性がある。
Izeaの最高経営責任者(CEO)を務めるTed Murphy氏は6月22日付のブログで、同社はブロガーに対するFTC規制の厳格化を支持すると述べている。
「このような変更を不安に思う企業は、開示を実施させる基準や方法をもっていないところだ。当社はトランザクションの自動化と標準化された開示の検証を可能にするシステムの開発に、多額の資金を投入している」とMurphy氏は言う。
一方、APの記事によると、FTCの取り組みが行き過ぎる可能性があり、報酬なしで書かれたブログ投稿にまで調べが入るようになり、ブログ投稿の自由が狭まることにつながるのではと心配するブロガーもいるという。また、ブロガー側で、ニッチと業界に基づいた自前の標準を作るほうがいいのではないかという意見も出てきている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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