Obama米大統領は米国時間5月29日、米政府はコンピュータやインターネット上の攻撃によって引き起こされる混乱に対応するためのしかるべき「準備ができていない」と述べ、ホワイトハウス内に新たにサイバーセキュリティ担当調整官の職を創設する予定だと発表した。
現時点ではまだ指名されていないその調整官は、これまで米国土安全保障省(DHS)が対応してきた、デジタルインフラストラクチャの保護という任務を課された新しい行政組織を監督することになる。Obama大統領は、「われわれはこれらのネットワークの安全性、信頼性、耐障害性を確保する。攻撃を抑止、防止、検出するとともに、攻撃に対して防御し、混乱や被害から迅速に回復する」と述べた。
Obama大統領によるその発表は、事前に予想されていたもので、連邦政府によるサイバーセキュリティへの対処のあり方を再考しようとする60日間レビューの結果発表とともに行われた。企業団体は、Obama政権におけるサイバーセキュリティの注目度を高めようとしてきたが、政府から規制上の義務が課されることについては慎重な姿勢を維持していた。セキュリティ強硬派は、新しい行政組織が民間企業に対してより強い権限を持つことを好むだろう。
最終的な報告書には、政治的な妥協が表れている。同報告書では、「侵入の検知および防止のシステム」や「サイバー侵入および攻撃の警告」を提案しながらも、プライバシー擁護団体や業界との連携が極めて重要であることを強調している。また、侵入に関するより多くの情報を連邦政府と共有することを企業に義務付ける新しい法律が必要となる可能性がある、と述べてはいるが、あくまで「最終手段として」となっている。
Obama大統領は、29日にホワイトハウスのイーストルームで発表したコメントの中でも、インターネットを使用するテロリストやその他悪意を持った者の危険を警告することと、政府の介入が度を超すことはないと述べることの間でバランスをとろうとしているように見えた。「われわれのサイバーセキュリティの追求には、民間企業のネットワークやインターネットのトラフィックを監視することは含まれない。繰り返すが、そういった措置は含まれない」(Obama大統領)
また同報告書では、民間のネットワークにいっそうの焦点を置くことによって生じる可能性のある、市民的自由に関する懸念を認めるために、多大な努力が払われている。同書においては「privacy」(プライバシー)という単語が実に69回も登場している。
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