三洋電機、次世代電池の積極姿勢が好評価--発電効率化も結実

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 三洋電機の株価上昇に市場関係者の期待が集まっている。今夏中にも具体化が見込まれるパナソニックからのTOB(株式公開買い付け)スタートを含む子会社化の進展に加え、太陽電池、リチウムイオン電池など次世代電池への積極的な取り組みが評価されてきたためだ。今後の業績および事業展開、株価推移の見通しを探った。

同社が5月14日に発表した2009年3月期の連結決算(米国会計基準)は、売上高1兆7706億円(前々期比12.2%減)、営業利益82億7600万円(同89.1%減)、最終損益は932の赤字(前々期は287億円の黒字)となった。これは、半導体などの電子部品事業をはじめ、カーナビゲーションシステムなど車載機器などが大きく低迷したうえに、主力の電池関連事業も伸び悩んだ。また、構造改革費用を850億円計上した。

 2010年3月期の業績見通しについては、売上高1兆6600億円(前期比6.2%減)、営業利益250億円(同3倍)、最終損益は収支均衡(前期は932億円の赤字)としている。これは、上期(09年4〜9月)に最終損益の440億円の最終赤字を見込むものの、固定費削減効果などにより、通期では損益は改善する見通しだ。今期も構造改革費用140億円を見込む。

 また、同社は来期の2011年3月期について、連結営業利益の必達目標として900億円、チャレンジ目標として1000億円以上を目指す。これを達成するために、(1)戦略的投資の実施(投資の選択と集中)として、2次電池・太陽電池・電子部品事業に対し、全社設備投資額の約7割を集中する、(2)3年間ですべての継続事業を黒字化する、(3)中期的な競争力強化の推進、(4)キャッシュフロー経営の徹底による健全な財務体質の維持――を推進する計画だ。

 同社の足元の状況については、リチウムイオン電池の操業度は、2009年度の第4四半期(2009年1〜3月)の50%程度から2010年度の第1四半期(2009年4〜6月)には70%程度に上昇をみせている。また、太陽電池についても同様に60%の操業度から80%程度へと回復をみせている。

 同社は、このリチウム電池についてハイブリッド車用電池製造の新工場を兵庫県の加西事業所内に建設すると発表した。最大130億円(建屋工事費)を投資し、既存工場と合わせた供給能力を年12万台分超と6倍以上に拡大する。着工は2009年9月、竣工は2010年7月を予定し、当初は月産100万セル体制で生産を開始し、その後需要に応じて生産規模を拡大する計画だ。

 また、同社は5月22日、現在主流の結晶系太陽電池で、世界最高の発電効率(太陽光を電気に変える効率)を達成したと発表した。HIT(三洋電機が開発した独自構造の太陽電池セルで、結晶シリコン基板とアモルファスシリコン薄膜を用いて形成したハイブリッド型)太陽電池で、実用サイズの変換効率23%(従来の最高記録は三洋電機自身の持つ22.3%だった)を達成したと発表した。今後、高効率化技術の量産化を進めていくという。

 高効率化を実現できた要因として同社は、HIT結合の高品質化、光吸収損失の低減、抵抗損失の低減の3つを挙げている。今回達成したセル変換効率23%は、同社が2010年の目標として掲げていたもので、1年前倒しでの実現となった。

 同社の株価は、今年2009年3月12日に年初来安値132円を付けて以降、上昇トレンドに転じ、特に4月20日以降上昇が加速し、5月15日には高値203円と200円台に乗せてきた。今後パナソニックグループの次世代電池開発・製造拠点として、順調に業績が向上する見通しが明確になってくれば、株価もさらに200円台固めから300円台を目指すことになりそうだ。

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