Oracleは、株式非公開の仮想化ソフトウェアメーカーであるVirtual Ironを買収する計画を立てている。この動きは、急速に拡大する仮想化ソフトウェア分野の最大手のVMwareにプレッシャーをかけるだろう、とアナリストは述べた。
世界第3位のソフトウェアメーカーであるOracleは、米国時間5月13日、Virtual Ironの買収計画を発表した。しかし、同社は買収の条件やその完了時期については、明らかにしなかった。
この買収は、同じく仮想化ソフトウェアメーカーの大手であるCitrix SystemsとMicrosoftからも、顧客を奪う可能性を秘めている。買収が実現すれば、単一の機器で複数のマシンの作業を実行することが可能になるため、企業はハードウェアやエネルギー、メンテナンスにかかるコストを節約できるようになるだろう。
市場調査会社のGartnerの試算によると、仮想化ソフトウェアの売上高は2009年に43%増加し、28億ドルに達するという。
アナリストによれば、Virtual Ironの技術は競合他社に匹敵するものだが、同社はこれまでライバルに対抗するだけのマーケティング力や資金を持っていなかったために、小さな規模にとどまっていたという。
Virtual Ironは堅実な製品だ、とJefferies & Co.のアナリストを務めるKatherine Egbert氏は述べた。
世界最大のデータベースソフトウェアメーカーであるOracleは、ソフトウェア業界有数の販売力を有しており、そのマーケティングインフラを利用して、Virtual Iron製品をほかのビジネスソフトウェアと並べて販売する可能性が高い。
Oracleは、製品群を1つに統合することで、割引料金を提供をできるほか、仮想化プログラム群に微調整を施して、それらと同社のデータベースソフトウェア、ミドルウェア、ビジネス管理プログラムをより円滑に連携させることも可能だ。
「もし私がVMwareやMicrosoft、Citrixなら、今回の買収計画を脅威に感じるだろう」とITICのアナリストであるLaura DiDio氏は述べた。「ライバルに対するOracleの考え方は、『情け容赦は無用』という非常にシンプルものだ。Oracleは、極めて手強い競争相手である」(DiDio氏)
マサチューセッツ州に拠点を置くVirtual Ironの技術である「Lowell」は、Oracleが2007年後半に発表した仮想化プログラム群を補強するものになるだろう。「Oracle VM」と呼ばれるこのソフトウェアは、主にLinux OSを搭載したコンピュータで使われている。競合はRed HatやNovellが提供する仮想化ソフトウェアである。
Virtual Ironのプログラムは、仮想化ソフトウェア市場の中でも主に大手のセグメントに利用されている。 これは、VMwareが独占し、Microsoft、Citrixが追う市場セグメントだ。
カリフォルニア州レッドウッドシティのOracleはまた、2月に発表したSun Microsystemの買収を通じ、ほかにも仮想化製品を手に入れる計画だ。
この記事はReutersのニュースを契約の下、シーネットネットワークスジャパン編集部が編集したものです。海外Reutersの記事へ
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