IBMは先週、「IBM System S」と呼ばれるソフトウェアプラットフォームを発表した。System Sは、体系化されていない大量のビジネスおよび科学的データのリアルタイム分析に関する同社の5年間の研究を経て、開発された。
IBMは、このソフトウェアがデータのストリームを処理することから、この技術を「stream computing」(ストリームコンピューティング)と呼んでいる。
さらに、IBMは先週、ダブリンに拠点を置くIBM European Stream Computing Centerを開設した。同センターは、ストリームコンピューティングアプリケーションの研究やカスタマーサポート、高度なテストを行う中心地としての役割を担う。
IBMによると、System Sはデータ量の増加という深刻な問題に対する同社の解決策だという。とりわけ、ウェブページや電子メール、ブログ、動画、電子センサから取得したデータなど、組織が処理に悩まされる、体系化されていないデータの増量に対処することを目的としている。
IBMのこの新ソフトウェアは、データベース上にある体系化されたデータだけでなく、こうした体系化されていない情報も処理できるように設計されている。同社によると、新ソフトウェアは、このデータをリアルタイムに処理することで、ユーザーがその分析結果に基づいて即座に決断を下せるようにするという。
「従来のコンピューティングモデルは、保存されたデータをさかのぼって分析するため、大量に入ってくる重要なデータストリームを絶え間なく処理していくことができない」とIBMは声明で述べ、「System Sの目的は、クライアントがより『リアルタイムに近い形』で複雑なシステム上の変化を認識し、それに対応するのを支援することだ」と語った。
System Sは、「SPADE(stream processing application declarative engine)」と呼ばれる、ストリームコンピューティング用に開発されたプログラミング言語で記述されている。IBMによると、新ソフトウェアは、クラスタやマルチコアアーキテクチャ、「Cell」プロセッサのようなチップなど、多様なハードウェアプラットフォームで動作するように設計されているという。
System Sは、株価や小売売上高、天気予報などのデータの分析に使用することが可能だ。IBMは、金融機関や政府、法執行機関、小売業者などの組織へ、同ソフトウェアを売り込みたい考えだ。
System Sは現在、数々の試験プロジェクトで使用されている。そうしたプロジェクトの目的は、IBMが同ソフトウェアの利用を見込む多様なアプリケーションの性能を実証することだ。
例えば、ウプサラ大学とスウェーデン宇宙物理研究所は、試験システムを使って、宇宙からの電波放射が電力線上のエネルギー伝送やラジオおよびテレビ電波を介しての通信、航空、宇宙旅行に及ぼす影響を分析していると、IBMは述べている。
IBMによると、同社は現在、System Sの英語版を直接販売しており、価格はサーバ2台の環境向けの10万ドルから、何百ものノードを持つ大規模クラスタ向けの数百万ドルまで、規模に応じてさまざまだという。
System Sの複数の言語でのリリースと、IBMのビジネスパートナーを通じての販売は、2010年に開始される予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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