ディー・エヌ・エー(DeNA)は、5月1日に2009年3月期の連結決算と2010年3月期の業績見通しを発表した。前期の2009年3月期決算の営業利益は158億円(前々期比25.1%増)と好調な実績を残したものの、今期の2010年3月期業績予想の営業利益については160億円(前期比1.0%増)と非常に控え目な収益見通しを発表した。これを受けて大型連休明け5月7日の株価は大幅安となったものの、翌8日は反発に転じた。同社の今後の業績見通しと株価動向を探った。
同社の2009年3月期の連結決算は、売上高376億円(前々期比26.5%増)、営業利益158億円(同25.1%増)、純利益79億円(同17.4%増)と2ケタの増収増益を達成した。特に第4四半期(2009年1〜3月)は四半期ベースでの売上高で初めて100億円台に乗せた。
サイバー・コミュニケーションズ(cci)との広告代理店契約により純広告が増えたほか、タイアップ広告も復調傾向となった。主力の携帯総合ポータルサイト「モバゲータウン」の2009年3月期末の会員数は1344万人(前期末比357万人増)と順調な増加をみせ、従来の10歳代中心のユーザー構成から20歳代以上へと会員数の裾野が拡大しはじめ、国内最大級のモバイルメディアとしての地位を確立している。
2010年3月期業績については、主力の「モバゲータウン」は上期中に10タイトル以上を投入するほか、ソーシャルゲームなど幅広いカテゴリーを揃える方針。今期は「モバゲータウン」の売上高210億円を予想している(前期実績196億円)。その内訳は、ゲーム関連売上高で30億円程度、アバター(自分の分身キャラクター)関連売上(アバター販売と成果報酬型広告の合計)は、前期並み(87億円程度)としている。
ただ、広告関連の売上については、大手広告主の広告宣伝費抑制の影響なども見込んでいることから、今期の売上高は93億円(前期比10%減)と予想している。また、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)はグリーが台頭するなど競争が激しくなっており、急成長持続が厳しい状態となっている。
しかし、今期は中高年向けサイト「趣味人倶楽部」など新規事業の拡大や、中国、米国など海外への事業展開が見込まれていることもあり、収益力の高い3Dアバターを利用したサービスの拡大しだいでは、業績が上方修正される可能性も十分ありそうだ。
同社の株価は、2009年1月26日に年初来安値の22万2600円を付けて以降、順調に下値を切り上げて4月23日には38万1000円まで上昇をみせた。その後、短期間での急上昇の反動で利益確定売りも出て、先週末の5月8日終値では、33万9000円とやや調整場面となっている。しかし、上昇トレンドは崩れておらず、中期的には40万円台回復が十分期待できそうだ。
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