厚生労働省は5月11日、「第6回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」において6月1日から完全施行される改正薬事法における省令の改正案(PDF)を示し、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を含む通信販売の規制において、同じ医薬品を継続して利用する人や離島に住む人に対して6月1日以降も2年間は販売を認める経過措置案を盛り込んだ。
この省令の改正案については早ければ5月12日にも一般から意見を募る(パブリックコメント)手続きをとり、再度次回の「第7回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」(開催日時は未定)で、その結果を議論したあと、5月中に省令を改正して6月1日の施行に間に合わせる予定だ。
改正薬事法では、安全性のリスクが高い順に「第1類」「第2類」「第3類」とそれぞれ分類された医薬品の販売方法が定められており、6月1日以降はインターネットを含む通信販売で第3類以外の販売が認められなかった。
厚労省は「ネット販売を容認する前提にあるわけではない」とし、「あくまでも通信販売以外で薬品を入手することが難しい人への救済策」と説明している。改正案では、2類と3類の医薬品および薬局が製造販売する医薬品で、これまでに販売記録、履歴がある顧客に対して同一の医薬品、同一の店舗でのみ継続販売を認める。また、薬局や薬店がない離島については、購入記録や履歴のない医薬品の販売も認める。
これに対して、検討会の委員からは「離島と過疎地の違いは何か。身体障害者に対してはどうするのか」「購入記録などは具体的にどうすればいいのか」「経過措置が拡大解釈される可能性がある」「継続使用の定義も曖昧だ」など、改正案に対する疑問が噴出し、積極的にこの改正案に賛成する向きは1人もいなかった。
さらに、パブリックコメントを実施して再度検討会で議論したところで何も意味はないのではないかとする意見も相次ぎ、この検討会の意義自体や厚労省に対する不信感も噴出。最終的には「厚労省の責任において省令を改正してください」との声も出た。数々の疑問に対して厚労省は「我々の責任においてパブリックコメントではきちんと定義してお出ししたい」と答えた。
追記:パブリックコメントは5月12日から募集開始された。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」