任天堂の株価が先週末の4月17日、終値で前日比1860円安(6.63%安)の2万6180円と急反落した。これは、同社の家庭用ゲーム機「Wii」の3月の米国販売台数が、前年同月比17%減と大幅に減少したことが嫌気されたためだ。株式相場全般が回復基調にある中で、4月3日以降任天堂の株価は逆行安の展開となっている。今後の同社の業績見通しと株価動向を探った。
米市場調査会社NPDグループが4月16日に発表したWiiの3月の米国での販売台数は60万1000台と前年同月比で12万台減少した。半面、マイクロソフト社の「Xbox 360」は33万台(同26%増)と大幅増となったものの、ソニーの「プレイステーション3」は15%減の21万8000台(同15%減)にとどまった。なお、任天堂は2006年11月に米国でWiiの販売を開始して以降、これまでの米国販売台数は1960万台に達している。
米国で、単月での販売が落ち込んだのは2008年1月以来のこと。今回の100年に1度といわれる世界的な不況の中でも、ビデオゲーム業界はこれまで大きな減少をみせることなく底堅い推移を見せてきたが、今回一転して大幅な減少となった。
これまで、Wiiについては「国内販売はやや苦戦しているものの、海外販売については好調を持続している」というのが、多くの業界関係者やゲーム業界担当アナリストの見方となっていた。ところが、米国での販売が17%減と大幅に減少したことは、市場関係者に少なからず衝撃を与えたようだ。ただ、業界関係者によると「昨年2008年の3月は、人気ソフトの“大乱闘スマッシュブラザーズ”によるハード販売の上積みもあったようで、この3月についてはその反動減という特殊要因もあったようだ。4月以降の数値も見ないと、販売低下が今後も続くかどうか判断できかねる」との見方もある。
同社の株価は、2009年に入ってすぐの1月6日に3万6800円の高値を付けて以降下落トレンドをたどり、2月23日には2万4620円の安値を付けた。その後は、全体相場の戻りに連動するかたちで反発に転じ、4月3日にはいったん高値3万850円と3万円台を回復した。ところがその後再び下落トレンドとなり先週末の4月17日には26万円台にまで下落している。
この4月に入っての下落について市場関係者は「全体相場が比較的堅調に推移している中で、任天堂の株価軟調が際立っている。売りの主体は海外ファンドで、銘柄入れ替えに伴う換金売りではないのか」との指摘が出ている。また、株価が下落する中、4月10日申込現在の大証での信用買い残株数が106.84万株と前週比32.34万株増加、信用倍率が4.33倍(前週は2.24倍)と信用需給の取り組みが一気に悪化したことも株価の上値を抑える大きな要因となっているようだ。
ただ、同社の最近の株価推移から判断すると、ほぼ2万5000円レベルが下値限界となっている。また、連結PERは16倍台と割高感はなく、配当利回りも5%台と非常に高い水準にまで株価が低迷していることもあり、ここから大きく売り込まれる懸念は少なそうだ。株価3万円台への復帰は比較的早そうだ。
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