ここ数年、ウェブ上(およびウォール街)では、Time Warnerが子会社のAOLを分社化すべきか否かについて議論されてきた。The Wall Street Journal(WSJ)の記事によると、Time Warnerの経営陣は、AOLの分社化を妨げている規定を変更したいもようだという。そのため、ついにAOLが分社化されるかもしれない。
一方、AOLも、プレートテクトニクス(地質構造学)並みのゆっくりしたスピードで親会社であるTime Warnerとの距離を広げてきた。このような「AOLの再出発」に向けた動きは今に始まったことではない。Time Warnerは2003年に社名をAOL Time Warnerから現在のTime Warnerに戻し、銘柄記号もAOLからTWXに変更した。またAOLは2007年に本社をニューヨークに移したが、これみよがしにTime Warner本社への入居は避けた。
またAOLは、事業を3つの半独立型ビジネスに絞ってきた。それらは、広告事業(Platform-A、多くのデジタル広告企業を買収)、ソーシャルネットワーキング事業(AOLが8億5000万ドルで買収したBeboが主体の「People Networks」部門)、コンテンツ事業(ブログや編集サイトを集めた「MediaGlow」ネットワーク)の3つだ。
しかし、Time Warnerから独立後のAOLの運命がより明確になり始めたのは2008年後半、特にMicrosoftがYahooの買収に失敗した頃だ(当時、AOLは両社の買収ターゲットとして脚光を浴びた)。Time Warnerの最高経営責任者(CEO)であるJeffrey Bewkes氏は8月、広告事業にさらに注力するために、AOLのダイヤルアップアクセス部門を分社化することを明らかにした。さらに言えば、Time WarnerがTime Warner Cable部門を分社化すると発表してから1年近く経つ。よって、同社もここ最近、事業規模縮小の実績が全くないわけではない。
また、間もなくAOLのCEOに、元Googleの広告部門幹部のTim Armstrong氏が就任する。それに伴い、同社は分社化に向け一気に動き出す可能性もある。
WSJは、この最新の動きによって、AOLは123億ドル相当の債務から開放される可能性があると伝えている。そうなれば、同社は重荷から解放され、独り立ちが可能になる。社債保有者は4月15日までに同意する必要がある。あるアナリストがWSJに語ったところによると、AOLが新規株式公開(IPO)を行う可能性は低いという。広告収入は依然として減少しており、市場全体の低迷は明らかだからだ。
しかし、これまで見てきたように、これら全てが一晩のうちに起こるわけではない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス