オンラインゲームやコミュニティーサービスの新たなトレンドを紹介し、今後の可能性を探ることを目的に2月5日に開催された、中間法人ブロードバンド推進協議会(BBA)主催の「OGC 2009(オンラインゲーム&コミュニティサービスカンファレンス)」。ここでは、昨今話題となっているコミュニティーサービスの舞台裏が関係者によって明かされた。
ネット上の“井戸端会議場”として、2008年5月には月間1億ページビュー(PV)を突破し、読者からの投稿をまとめた書籍が出版されるなど、新聞社が運営する掲示板サイトとして女性層を中心に異例の盛り上がりを見せる「発言小町」。運営責任者である、読売新聞東京本社メディア戦略局編集部次長の神崎公一氏は、その運営方法やこれまでの経緯、成功に至った理由などを語った。
神崎氏によると、発言小町の1日あたりの投稿数は2500件から3000件。当然ながら、この膨大な投稿の中には、掲載がふさわしくない内容のものも含まれる。運営母体が新聞社ということもあって、内容のチェックには余念がない。
「基本的にはサイトポリシーに則って、不適切な書き込みは削除する。具体的には、誹謗中傷する内容や暴力的な表現、プライバシーに関わる内容は排除する。新聞社なので、差別用語や表現にも細心の注意を払う。問題部分を自動的に反転させる、新聞紙面の編集に使われているシステムを掲示板にも応用している」(神崎氏)
機械的な作業以外に、1件1件目を通して内容の確認にあたるスタッフも常駐する。しかし、人手による確認作業には時間的に制約がある。スタッフが対応できる時間帯は平日のビジネスアワーだけなので、土日に投稿された記事の掲載は3日後になってしまうこともあった。そこでこうした問題を改善するために、2007年3月にシステムの改修をしたのだという。
新システムにより、新規で投稿された記事は100本単位でスタッフに自動で振り分けられ、投稿から確認、掲載に至るまでの作業時間を最短で2時間に短縮できたという。これ以外にも、カテゴリー分けを表示したり、男性専用の投稿コーナーを設けたことがPVの飛躍的な伸びにつながったとしている。
ネットレイティングスの調査では、発言小町ユーザーの月間滞在時間は1時間21分。これは運営母体のニュースサイトよりも格段に長い時間で、決して無視できない数字だ。「以前は『インターネットが頑張ったら新聞が売れなくなる!』と言われていたが、『インターネットでも稼げ!』というのが最近の風潮」と神崎氏。現在のところ発言小町は広告収入が中心だが、これだけでは厳しい。今後は「アフィリエイトによる手数料収入や、掲示板を利用した商品開発など新たなビジネスモデルを模索している。本紙と連動したクロスメディア的な展開や、オフ会、トークショーの開催など、コンテンツを最大限に活用していきたい」と話した。
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