2009年は、液晶テレビメーカーにとって悪夢の1年となりそうだ。
調査会社DisplaySearchは米国時間12月18日、世界各地域におけるテレビブランドの出荷データをまとめた「Quarterly Global TV Shipment and Forecast Report」の最新版を発表した。それによると、2009年の世界の液晶テレビの売り上げは、2008年から16%減の640億ドルに落ち込む見込みだという。DisplaySearchは同レポートで、「(2009年は)テレビメーカーおよびサプライチェーンにとって、これまでで最も厳しい年になる」と指摘している。
その要因は、液晶テレビの需要減による価格急落と小売店への出荷台数の減少だ。DisplaySearchは、2009年の液晶テレビの総出荷台数は、2008年の2億640万台から1%減の2億530万台と予測している。
米国の景気後退と世界の金融市場の不安定性が家電業界に大きな打撃を与えた。メーカー間の激しい顧客争奪戦により、テレビ価格は2008年後半にはすでに下落し始めていた。また、テレビ価格の下落に伴い、メーカー、サプライヤー、小売店の利幅も減少している。
これまでのところ、大手を含むほとんどすべての家電メーカーが景気低迷の影響を受けてきた。ソニーは、テレビ出荷台数の大幅減を受け、先週、従業員の解雇と工場の閉鎖を発表した。パナソニックも今後、利益が大幅に減少すると発表し、Samsungも減収減益を受け、投資の削減を計画中だという。
現在、液晶テレビ業界で浮上しているさまざまな問題は、1年以上前からその兆しを見せていた。液晶テレビがまだ比較的目新しい商品で、一流ブランドメーカーが自社製品をかなり高い価格で販売していた頃、小規模な二流ブランドメーカーは、ディスカウントチェーン店で自社製品をより低価格で販売することにより、主流派にのし上がった。
顧客らも低価格に大きく反応し、Vizioなどを世界のトップテレビメーカーに押し上げた。ソニー、Samsung、シャープ、LGなどの大手メーカーも価格の引き下げで対抗したが、それが液晶テレビの価格をじりじりと底値まで押し下げる結果となった。
しかし、2009年を考えると、現状維持ですらかなり厳しい目標に思える。重要なのは、北米市場や西欧市場向けに低価格テレビを製造、強化する一方で、液晶テレビに依然として製品としての目新しさが残っている新興市場をうまく利用することだろう。
そうすれば、各テレビメーカーは液晶テレビ市場が立ち直るまで持ちこたえられる可能性はある。DisplaySearchは2010年に液晶テレビ市場は回復するとしている。それまでに、液晶テレビの総売上は700億ドルを超える水準まで回復しているだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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