NTTドコモ、内需系の主力株として株価上昇に期待感

 東京株式市場では主力株が軒並み大幅安する地合いが続いている。その中でNTTドコモの株価が比較的堅調な推移をみせている。

 国内では携帯電話の普及が飽和状態となりつつあるが、NTTドコモは新たな収益拡大に向けて模索を始めている。業績面でも堅調な推移をみせており、電機、自動車、精密機械といった輸出依存型の国際優良銘柄の業績悪化懸念が深刻化する中で、業績面で買い安心感のある内需系の主力銘柄として来年にかけて買い人気を集めそうだ。今後の業績動向と株価推移を探った。

 NTTドコモの2009年3月期の第2四半期累計(4〜9月)の連結決算(米国会計基準)は、営業収益2兆2677億円(前年同期比2%減)、営業利益5769億円(同41%増)、純利益3466億円(同41%増)と、小幅減収ながら大幅増益となった。

 第2四半期累計の携帯電話契約数は、第1四半期末と比較して31万増の5394万契約となった。そのうち「FOMA」サービスの契約数は携帯電話契約数の86.1%を占める4664万契約となった。また、昨年8月に導入した「ファミ割MAX50」などの新割引サービスは、好調に推移し、9月末で約2850万契約、同じく昨年11月に導入した「バリュープラン」は、同約1300万契約とそれぞれ大きく契約数を伸ばした。

 一方で、第2四半期累計の携帯電話販売数は、前年同期比19.8%減の532万台となった。割賦販売浸透による販促費負担の大幅軽減が貢献したことが営業利益の大幅拡大につながった。オペレーション面では、第2四半期累計の総合ARPU(加入1人当たりの月間売上高)は前年同期比10.5%減の5860円と減少したものの、データARPUは同9.0%増となった。

 NTTドコモは10月31日、2013年3月期までの中期経営計画を明らかにした。同社の山田隆持社長は「モバイルの世界は量的に飽和しているが、質的にはまだまだ伸びるのではないか」として、顧客満足度の向上と新サービスの開発を進める方針だ。同社は、従来の新規顧客の獲得優先から、現在の約5400万人の顧客の維持に方向転換し、アフターサービスの拡充や通信品質の向上などを図り、2011年3月期中に顧客満足度1位となることを目指す。

 下期を含めた今3月期通期の営業利益について8300億円(前期比2.7%増)を見込んでいる。同社は秋冬モデルの発表で、従来の「900シリーズ」、「700シリーズ」を改め、4〜5シリーズのラインアップに変更し、ハイエンド機種を中心にタッチパネルとウィジェットを採用しており、これまで他キャリアに遅れをとってきた機種選びでのバリュエーションが大きく広がり顧客への訴求力が高まることが予想される。

 下期から来期にかけての焦点は、毎月の契約数の純増数が現状に比べて回復するかどうか、端末調達コストがどの程度削減できるか、解約率・買替率がどの程度低下するか、ARPUの下落に歯止めがかかるかどうかといった点が挙げられる。

 同社の株価は8月4日の高値17万9100円から軟調展開となり、9月半ばの米国発の金融危機による全体相場の下落に伴い一時、10月10日には13万6000円まで下落した。しかし、その後全体相場の波乱の中でも反転上昇基調を鮮明にしており、現在は15〜16万円でのボックス相場となっている。今後は業績悪化懸念の少ない内需系の優良銘柄の一番手として株価の緩やかな上昇が期待され、中長期的には20万円台に回復することも十分期待できそうだ。

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