NTTドコモは10月31日、2009年3月期中間決算を発表した。端末の販売台数は前年同期比19.8%減となったものの、販売手数料や端末原価も下がったことで、減収増益となった。また、2013年3月期までの中期経営計画を発表し、営業利益9000億円以上を目指すとした。
2009年3月期連結中間決算は、端末割賦販売の「バリューコース」を選択する顧客が増えたことで、顧客1人あたりの収入(ARPU)が減少し、売上高にあたる営業収益は前年同期比2.5%減となった。ただ、バリューコースの場合は「端末を正価で買ってもらっている」(代表取締役社長の山田隆持氏)ため、端末販売収入が増加。さらに、端末の販売台数を当初中間期で1280万台と見込んでいたが、実際は1026万台にとどまっために、代理店手数料が減少した。「400億円の利益押し上げ効果があった」(山田氏)という。これにより、営業利益は前年同期比41.2%増と大幅に増えた。
2009年3月期の第2四半期(7〜9月)のARPUは前年同期比10.5%減の5860円。ただし、データARPUだけを見ると同9.0%増と伸びている。「パケットARPUの伸びで、ARPUの減少幅は当初の予想以下になった」(山田氏)
ドコモは端末の割賦販売を進めており、端末の販売奨励金を減らして利益率を高める戦略を取っている。バリューコースの選択率は90%以上で推移しており、契約者数も1200万人を超えた。「ビジネスモデルの転換が進んでおり、おおむね順調な決算といえる」と山田氏は話した。
通期の見通しについては、4月の予想値を下方修正した。通期の販売台数は2200万台程度と、当初予定から340万台減ると見ている。ただし11月5日に発売する秋冬モデルが「フルモデルチェンジになる」(山田氏)こと、さらに現在movaを利用している約750万人のユーザーをFOMAに移行させる施策を積極的に取ることで、上期ほどの落ち込みにはならないと予想している。
movaについては、2012年7月にmova用の電波が利用できなくなることが決まっている。このため、「今期中にはいつサービスを停止するかを決めたい」(山田氏)とのこと。mova関連の資産償却についても、繰り上げて今期中に計上する考えを示した。
今後はコスト効率化を進めるとともに、動画などの新規サービスやLTEと呼ばれる高速無線通信サービスなどを提供し、海外展開も進めていく。パケットARPUを伸ばすことで、2012年3月期までに総合APRUの下げ止まりを実現する考え。2013年3月期には営業利益を9000億円以上にするという目標を掲げ、株主への配当についても現在40%という国内トップレベルの配当性向を維持するとした。
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