そして2001年8月にはGClueを設立し、法人でのアプリの開発が始まった。当時、日本でモバイル向けアプリを開発している企業はほとんどなかった。同社はJ-Phone(当時)に対して最初にモバイル向けのアプリを提供したのをはじめとして、ゲームやツールなど約200本のアプリを製品化してきた。
2006年にはディー・エヌ・エーがモバイル向けのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「モバゲータウン」を公開。初月で10万ユーザーを集めるなど、広告モデルでのモバイルゲームのモデルに注目が集まっていた。GClueでも同時期に広告モデルのゲームサイトを提供したが、「コミュニティの仕組みにまで手が回らず、ユーザーの活性化ができないまますぐに撤退した」(佐々木氏)という。
「モバイルアプリだけで食っていくのは大変」――佐々木氏はそう語る。モバイル向けのゲームであれば、公式サイトやコミュニティサイトを立ち上げないとユーザーの活性化を図れない。しかもアプリはコミュニケーションのおまけという扱いだったりするので、アプリ開発だけで収益化するのは難しかったという。
だがiPhoneが登場し、App Storeというプラットフォームができたことで「アプリを作ればすぐにお金になるという時代がやっと来た」と期待を寄せる。App Storeを通すことで、開発したアプリは全世界でそのまま販売可能。そのため、日本の地方都市であっても世界を相手にしたビジネスができるというのだ。
同社のiKotoなどは、公開後間もなくメディアに取り上げられたこともあり、国内の有料アプリランキングで1位となった。その後Appleから米国でのプロモーションのオファーがあり、それを受けた結果、米国の有料アプリランキングでも51位にランクイン。その後欧州でもアプリランキングにランクインするということが起きた。その結果、10月時点では米国での売り上げが日本の10倍以上にもなったという。
同社では今後、月間10本程度のアプリを提供を目指す。11月初旬には漢字書き取りゲームの「iKanji」、写真エフェクトツールの「iBlur」を提供する予定だ。また、Android向けにもアプリを提供していく。
GClueは産学連携にも積極的だ。佐々木氏の母校でもある会津大学は、日本初のコンピューター工学の専門大学。同社は現在、同校と協力して課外プロジェクトとしてiPhoneやAndroidの開発セミナーを開講しており、今後は大学の単位認定授業としていくよう働きかけている。
また、学生エンジニアが開発・発案したアプリについても無償で公開していくよう、サポート体制を整えるとしている。「突然変異的な天才エンジニアを見つけるではなく、1年に数名すごいエンジニアを地元で育てられれば」(佐々木氏)。セミナーは地元工業高校の学生も参加しており、「Androidアプリを開発する女子高生エンジニアも間もなく誕生する予定(笑)」という。
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