ディー・エヌ・エー(DeNA)の業績は順調な推移をみせており、現在50万円前後の底値水準でもみあいを続けている株価も反転上昇に転じ、中期的には70万円台乗せに期待感が持てそうだ。
同社が7月28日発表した2009年3月期の第1四半期(2008年4〜6月)の連結決算は、売上高90億900万円(前年同期比60.7%増)、営業利益42億7000万円(同2.1倍)、経常利益43億3700億円(同2.1倍)、純利益23億9500億円(同2.3倍)と大幅な増収増益となった。
主力のモバイル事業では、モバイルサイトの「モバゲータウン」の第1四半期の6月末の会員数は1078万人(前年同期末474万人増)となり、1000万人を超える国内最大級のモバイルメディアとしての基盤が強化されてきた。これに伴い、媒体価値の向上により、大手広告主との共同タイアップ企画や、その他広告販売の売上が好調に推移した。
さらに、大人向けゲームコンテンツの「モバカジノ」や、ゲーム会社各社と共同開発したアイテム課金型ゲームなどの配信スタートも寄与した。また、サイトの健全性維持に対する社会的な要請が高まるなかで、青少年保護をより強化することを目的として、モニタリングシステムやサイトパトロールなどのための人員体制の強化を実施した。
また、「ポケットアフィリエイト」は、6月末の累積媒体主数が51万(前年同期末比7万増)となり、アフィリエイトネットワークとしての規模を引き続き拡大し、他媒体の売上が引き続き伸長した。さらに「モクオバ」の6月末の有料会員数は110万人(前年同期末20万人増)と拡大し、課金売上などが順調に推移した。
この結果、モバイル事業の売上高は74億3000万円(前年同期比73.9%増)、営業利益44億300万円(同96.8%増)と好調な推移をみせた。Webコマース事業では、携帯電話向け総合ショッピングサイト「ポケットビッターズ」、eショッピングモールサイト「auショッピングモール」及び「モバデパ」などのモバイル分野が引き続き好調に推移した。この結果、この部門の売上高12億700万円(前年同期比20.7%増)、営業利益2億9300万円(同49.7%増)となった。
2009年3月期通期の業績については、売上高420億円(前期比41.2%増)、営業利益175億円(同38.2%増)経常利益176億円(同37.3%増)、純利益88億円(同29.9%増)と見込んでいる。
さらに同社は、7月22日、モバイルサイト「モバゲータウン」の広告枠販売に関して、ディーツーコミュニケーションズ(D2C)およびサイバー・コミュニケーションズ(cci)と包括的代理店契約を締結することを決めたと発表した。電通と共同で広告商品を開発することも視野に入れている。D2Cは電通とNTTドコモが共同で設立したモバイルサイト向けの広告代理店で、電通が46%を出資している。cciがモバゲータウンのメディアレップとなり、営業費用の効率化が期待されるほか、ナショナル・クライアントの獲得、新広告商品の展開などの効果が第3四半期以降見込まれる。
株式市場は、同社の第1四半期決算に対して「大幅な増収増益だが、予想していた水準には達しなかった」と判断したようで、株価は60万円台後半の水準から急落し、50万円水準に落ち込んだ。しかし、その後は50万円を挟んで非常に小幅な水準でのもみ合いの推移となっており、日足のチャートではまさに?底値固め?の状態となっている。
第2四半期までは、青少年保護のための監視強化などの影響などで、10歳代のユーザーの減少や、主要広告主のアフィリエイト広告の抑制傾向などで業績の伸び鈍化の可能性はあるものの、第3四半期以降は10歳代ユーザーの回復や、電通グループとの提携によるナショナル・クライアントの獲得や、新たな広告商品の展開などの効果も見込めるため、再び成長が加速する可能性が高そうだ。
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