シアトル発--たとえば、イラク戦争で手が不自由になるなど障害を負って帰還した多くの退役軍人にとって、コンピュータで何かするということは絶望的な作業である。
しかし、ワシントン大学(University of Washington)の電気工学、言語学、コンピュータ科学の各学科で進行中の研究プロジェクトが、こうした障害のある退役軍人や手の不自由な人のための、最新のツールとなる可能性がある。
「Vocal Joystick」として知られるこのプロジェクトは、音声だけでコンピュータのカーソルを動作可能にすることを目的としている。
ワシントン大学大学院生のJon Malkinさんが米国時間8月23日、当地で開催のGnomedexカンファレンスで講演し、音声認識技術の応用事例としてVocal Joystickを説明した。
Vocal Joystickは、使用者がソフトウェアに自分の音声を認識させることで機能する。
Malkin氏は、「われわれは、Vocal Joystickで多くのことができる」と述べ、「音声は非常に複雑な信号だからだ」と語った。
同氏は実際に、このソフトウェアでは、使用者に「4つの自由」があることを説明した。つまり、母音の使い分けによって、カーソルを上下左右に動かすことができる。
たとえば、左に動かしたいときは「feet」の「ee」の音、右に動かしたいときは「law」の「aw」の音を発音する。マウスクリックに相当する動作には、「but」の「u」の音を発音する。
この種のソフトウェアでは基本レベルの操作しかできないと思いがちかもしれない。しかし、Malkin氏は、あるアーティストがVocal Joystickを使って描いた富士山の絵を披露した。
この絵は非常によくできており、両手を使ってもこれほどの絵を描ける人は多くあるまいと思えるほどだったのだ。
Malkin氏によると、このアーティストはこの絵を3時間ちょうどで仕上げたという。
Malkin氏はまた、リアルタイムでのソフトウェアのデモンストレーションを行い、ほかの魚を捕まえようと泳ぎ回る魚を操る簡単なゲームとVocal Joystickがどのように連動するかを披露した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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