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補償金問題、議論は振り出しに--文化庁、私的録音録画小委員会の第3回会合を開催

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 私的録音録画補償金制度の見直しを議論する、文化庁の文化審議会著作権分科会「私的録音録画小委員会」の第3回会合が7月10日、開催された。著作権料を補償金として録画機器に課すか否かを巡り、権利者団体側とメーカー側の意見が平行線を辿ったままの議論が約2カ月ぶりに再開された。

 当初予定では、第3回会合は5月29日に予定されていた。しかし「補償金問題について、一部の委員から回答を得られなかったため」とし、延期を決定。その後、文部科学省と経済産業省がBlu-rayに補償金を課す折衷案に合意し、7月4日に「ダビング10」が解禁された。

 5月8日に開かれた前回の会合では、将来的に補償金制度の縮小、廃止を前提に、当面は暫定的にiPodやHDDレコーダーなど、記録媒体を内蔵した一体型機器を補償金制度の対象とする方針を盛り込んだ案を文化庁が提示。これに対して、メーカー側である社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が呈した疑問点への回答を、文化庁が今回の会合の冒頭で説明した。

 メーカー側がもっとも懸念しているのは補償金制度の対象が、今後拡大する可能性だが、これについて文化庁著作権課の川瀬真氏は「将来的には補償金ではなく、契約による対応を考えているが、技術の発達、市場の調整、関係者協議の進捗状況等に委ねられるものであり、現時点であらかじめ存続期限を決定することは適切ではない」と語った。

 一方、メーカー側は「補償金制度の論点についてのJEITAの見解」としてまとめた文書を配布。補償金について「DRMで私的複製は制限されており、必要ない」という従来からの主張を繰り返し強調したほか、「将来的に汎用化が確実な録音録画機器に対象が拡大される余地が現行の文化庁案では残されている」などと説明し、補償金制度縮小の道筋が明確でない限り、現在の法案を受け入れない姿勢を崩さなかった。

 その後行われた意見交換では、日本芸能実演家団体協議会常任理事の椎名和夫氏が「ダビング10を議論する総務省の委員会の場で、メーカー側の委員はなぜ『ダビング10には対価の還元は必要ない』と主張しなかったのか。それでは後出しだ。フェアではない」と指摘。

 これに対し、JEITAの著作権専門委員会委員長の亀井正博氏は「総務省の議論では、対価の還元方法は補償金だけではないという認識だったのだろう」と反論し、「言った言わない」の議論に発展しかねない状況になったことから、「ここは著作権制度を議論する場」と、小委員会主査の中山信弘氏が釘を刺す一幕もあった。

消費者は蚊帳の外、見通しは白紙のまま

 今回の会合では「DRMで保護されている以上、補償金の必要がない。権利者は著作料の二重取りをするのか」(メーカー側)と、「技術で未来永劫も絶対に著作権を守っていけるのか。著作物があるからこそ利用できる機器で利益を得ているメーカー側が対価の還元を行わないのはフリーライドだ」(権利者側)という二者の主張が一貫して平行線をたどるかたちで、これまでの議論からの発展性があまり見られないものに終わった。

 消費者側の代表からは「結局消費者が蚊帳の外に置かれて議論されている。対価=損失をどうにかしようという話だとは思っていなかった。私的録音が損失を生む生まないの話しなら、外で直接バトルしてほしい」(主婦連合会副常任委員の河村真紀子氏)、「DRMがついていれば補償金は不要。補償金をかけるならば、家庭内での自由なコピーを認めるという二択が消費者の思うところではないか」(ITジャーナリストの津田大介氏)と、消費者の意向を無視し、利権を巡った議論に帰結する二者の主張への不満をにじませた。

 結局、今回の会合でも今後の方向性すら見出せないままに議論が終了。「どんな技術でも発展していくと問題が生じるのは必然。両方の利益のバランスをどう取るかだ。議論が最初に戻ってしまっている」(青山学院大学教授で弁護士の松田政行氏)、「双方に不満があるのはわかりきった話。文化庁案はあくまで妥協であって、一体型をどうするかという議論にそろそろ移るべき」(情報セキュリティ大学院大学教授の苗村憲司氏)などの発言も相次ぎ、メーカー側と権利者側が主張を繰り返すだけの議論に半ば愛想を尽かし、苛立ちの表情を浮かべる委員の姿もあった。次回の会合では双方の妥協点を探る次の段階の議論が望まれる。

 文化庁では当初、今秋の臨時国会でiPodなどに著作権料を課金することを盛り込んだ著作権法改正案を提出することを目指していた。しかし、今回の会合でも関係者の理解が得られるには至らず、見通しはまったく白紙のまま。今後は関係者の意思確認を改めて行い、次回会合を秋までに開きたい方針だ。

私的録音録画小委員会の第3回会合 私的録音録画小委員会の第3回会合

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