液晶テレビや半導体の製造に使われる化学物質が、石炭火力発電所以上に地球温暖化を悪化させる可能性があるという。報告書が警告している。
Geophysical Research Letters誌の6月26日号に掲載された研究結果によると、三フッ化窒素は「見落とされている温室効果ガス」だという。液晶ディスプレイ、半導体、人造ダイヤモンドを製造する際の化学気相堆積の中で使用されている。
同報告書を共同執筆した大気化学研究者Michael Prather氏がNew Scientist誌に語ったところによると、三フッ化窒素の生産量は2009年に前年比倍増の8000トンに達する可能性があるという。
三フッ化窒素の地球温暖化効果は、二酸化炭素の1万7000倍と言われている。
しかし、この状況ははっきりしていない。というのも、この三フッ化窒素は気候変動に関する国際連合枠組条約「京都議定書」に記載されている6種類のガスに含まれていないためだ。
New Scientist誌によると、2008年に生産された三フッ化窒素が大気中に放出された場合、約6700万トンの二酸化炭素が放出された場合と同等の温室効果があるという。
これは、先進国から排出されるパーフルオロカーボン(PFC)や六フッ化硫黄よりも地球温暖化に対する影響力が強いことを意味する。
三フッ化窒素をはじめ数十種のガスが京都議定書から除外された1つの理由としては、それらのガスの生産が、重大な害をもたらすのに十分な規模ではなかったことが挙げられる。
また、一部の企業は当初、汚染を減らすために他のガスから三フッ化窒素に切り替えた。
米国では、2009年2月に予定されるデジタルテレビへの完全移行に伴い、液晶テレビを含む薄型テレビ市場が急成長すると見られている。
これに加え、有毒な電子廃棄物が適切に処理されなければ、さらなる環境破壊を招く恐れがあると複数の監視団体が警告している。米国では、2009年末までに8000万台のアナログテレビが処分されると見られる。
しかし、液晶テレビはプラズマテレビやリアプロジェクションテレビに比べて消費電力が少ないため、環境に優しい製品と評されることが多い。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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