5月23日、プライムワークスが東証マザーズ市場へ新規上場した。複数の好条件が揃い、初値は公開価格23万円の2.6倍に相当する60万円となった。
同社は携帯電話向けコンテンツ配信のプラットフォーム開発が主力事業。プラットフォーム開発では、携帯電話向けのコミックや小説などを閲覧するためのアプリケーションソフトの開発のほか、配信事業者向けのASPサービスやユーザーインターフェースに関するコンテンツ制作・配信などを中心に展開する。また、サービスソリューション事業として、ウェブインテグレーションやウェブマーケティングも展開している。
株式市場の注目度が高いモバイル関連企業。既上場の類似企業、比較対象としては、携帯電話向けシステム開発や技術支援を手がけるシステムプロ、ユーザーインターフェースを軸にモバイル端末のソフト開発を手掛けるアクロディア、携帯電話関連を中心にソフトウェア開発やシステムコンサルティングを行うテックファームなどが挙げられていた。
プライムワークスはまた、携帯電話向けマンガ閲覧ソフトのセルシスとは協業関係にある。コンテンツ系では占いが主力のザッパラス、動画やコミック系に強いアクセルマークなどの名前が挙がっていた。
プライムワークスの業績は、2008年2月期推定が非連結売上高22億5300万円(2007年2月期実績比51%増)、経常利益は3億1000万円(同2.2倍)。2009年2月期は売上高30億3300万円(前期推定比34%増)、経常利益は3億4900万円(同12%)を計画している。
業態的な妙味、業績成長率に加え、需給的な妙味も初値を引き上げた背景の1つに数えられている。プライムワークスの公開株式数は公募2200株、売り出し1800株の合計4000株。市場からの吸収金額は9億2000万円だった。
そしてプライムワークスの初値が高騰した最大の要因、それはスケジュール面とみられている。プライムワークスの株式公開日は5月23日。同社の前の株式公開案件は4月9日に大証ヘラクレスへ新規上場した医薬品開発、製造のアールテック・ウエノであり、実に1カ月半ぶりの新規上場会社だった。
例年、5月はブックビルディングのスケジュールなどに大型連休を挟むことを嫌い、新規上場案件が少ない。また2008年は株式市場の低迷や取引所による審査厳格化などを背景に、新規上場案件が激減。プライムワークスについては、新規上場案件の希少価値が高まっていたほか、上場までに1カ月半の空白期間があったことで、買いエネルギーが十分に蓄積されていた。
5月23日の取引終了後に6月末の新規上場銘柄が1件承認されたが、プライムワークスが上場した時点では今後のスケジュールも白紙だった。前後に新規上場がないため、投資家が割り切って初値買いに参戦できたという側面もあったようだ。
プライムワークスが上場するまで、新興市場では類似企業にも挙げられていたアクセルマーク、テックファームなど直近上場銘柄が新規上場銘柄の代替として物色人気を集めていた。新興市場全般は停滞色も漂っていたが、値動きの軽い銘柄への物色意欲はおう盛だった。プライムワークスの初値形成には、その直近上場銘柄物色の流れも引き継がれていたようだ。
プライムワークスは多くの好材料が重なって初値を急騰させた。新規上場銘柄の好調は新興市場全般への注目度上昇に繋がる。引き続き新規上場銘柄数の大幅な減少はマイナス材料だが、プライムワークスには上場後も全般をけん引する活況展開が期待されている。
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