ゲーム機の最高に偏った使い方--お気に入りガジェットバトン第41回

傷や汚れはつねにカバンに入れて持ち歩いている愛着の証 傷や汚れはつねにカバンに入れて持ち歩いている愛着の証

 ぼくが大好きなのはテレビのドラマ。大嫌いなのは通勤電車の退屈な時間、どうも体質に合わないのがゲーム機だ。通勤を始めてこのかた、ぼくの夢は通勤電車でさりげなくドラマを見ることにあった。4年ほど前、それを叶えてくれたのがソニーのPSP(プレイステーション・ポータブル)、あろうことか世間でいうゲーム機だ。

ゲーム機で遊ぼうなんてもってのほか

手前はメモリスティックPRO Duo、奥でふたが開いているのはUMD。映画やドラマがUMDで提供されるという噂があったが、現状では事実上ゲーム専用の媒体となっている 手前はメモリスティックPRO Duo、奥でふたが開いているのはUMD。映画やドラマがUMDで提供されるという噂があったが、現状では事実上ゲーム専用の媒体となっている

 ぼくはトランジスタラジオと同じ年に生まれ、半導体の進歩を見ながら育った。半導体の水準をはかる物指しは、いつもゲームだった。たとえば、i8080(インテルの最初のまともなCPU)がスタートレック(アドベンチャゲーム)を動かしたとか、ディープブルー(IBMのスーパーコンピュータ)がカスパノフ(チェスの世界チャンピオン)を打ちまかしたという話が、そのつどぼくをわくわくさせた。図面を引く職人が、絶対、物指を定規のかわりにしないように、ぼくはゲームと特別な態度で接している。遊びに使うなんてもってのほかだ。

 だからPSPは、完全に動画再生機の位置付けにある。そういう使いかたができそうだと思ったのは発売直前の雑誌の記事。断片的な情報で、うまくいく確信はなかったが、うまくいかなくていつものことだから、2004年12月、発売と同時に近所のおもちゃ屋さんに駆けつけ、小学生の列に並んでピアノブラックの初代PSPを買った。そのあと、ここに書ききれないほど失敗を重ね、ついに、録画したドラマをメモリスティックPRO Duoに入れて再生することに成功した。

ソフトのアップデートで実用性が向上

512MバイトのメモリスティックPRO Duo。H.264、368×208ピクセル、29.97fps、QB10の動画が2時間半、保存できる 512MバイトのメモリスティックPRO Duo。H.264、368×208ピクセル、29.97fps、QB10の動画が2時間半、保存できる

 初代PSPは嫌になるくらいベタなゲーム機だった。当時、メモリスティックPRO Duoの容量は最大で512Mバイトしかなく、価格がPSPと同じくらいして、動画再生は現実的でなかったせいだと思う。それでゲームをやらないとなると、PSPは余計な機能に満ち溢れている。たとえば、とても操作しやすい位置にあるL/Rボタンは、うっかり触れると動画の再生を終了し、続きを見るには先頭から早送りしなければならない。

 現在、PSPはシステムソフトウェアがアップデートして前述の問題が解消され、さらにリピートやシーンサーチの機能が加わって、動画再生機としても使いやすくなった。もはや携帯電話やiPodも動画再生をやる状況だが、PSPは圧倒的な大画面でこれらに勝っている。そのうえ、関心があればゲームができる。

 動画は、当初、LinuxのFFmpegで作っていたのをWindowsのフリーウェア「携帯動画変換君」にかえた。これで、録画、編集(CMカット)、変換までWindowsで統一され、仕事で使うにはいまいちの古いパソコン1台で間に合うことになった。変換時間は、1時間番組で45分ほど。なくても困らないパソコンで、操作が求められない45分は、まったく気にならない。メモリスティックPRO Duoは相変わらず512バイトだが、2時間半くらいの動画が入り、バッテリの1回の充電で再生できる時間と一致していて、これ以上は必要がない。

通勤電車が憩いの場所になった

バッテリーパック。1回の充電で動画が2時間半、再生できる バッテリーパック。1回の充電で動画が2時間半、再生できる

 こうして通勤電車は、一転、ぼくの憩いの場所となった。仕事がうまく進まなくて徹夜した翌日、勤務先で仮眠をとっていたら叩き起こされるだろうが、電車の中はほうっておいてくれることが保証されている。心行くまで、ドラマにのめりこんでいい時間なのだ。

 もっとも、電車に乗ったとき先にPSPでゲームをやっている高校生なんかがいると、近くで使うのはちょっとはばかられる。そうでなくても、コメディで笑い転げたり感動的なドラマでつい目頭を熱くしたりして恥ずかしい思いをすることがある。そもそも公共の空間でくつろぎすぎるのは大人のマナーとしてどうかと思う。いまはPSPをもっと目立たないように使う方法を考えている。

鈴木哲哉氏プロフィール

原稿を書く仕事が多いのでライターだと思いますが、よく文章がヘンといわれるため名刺では編集者を名乗っています。1970年代のマイクロプロセッサをすべて所有し、Altair8080やSMTP6800のレプリカを作り、アセンブラでBASICを書いて走らせるのが趣味という以外は平凡な生活を送っています。


【使用製品】

PSP-1000


【購入時期】

2004年12月

【お気に入り度合い】

駅に着いて定期を忘れていたら止むを得ず切符を買うが、PSPを忘れていたらとりに帰る。


【次回執筆者】

粕川満さん


【次回の執筆者にひとこと】

ネットのあちこちで最新ガジェットの紹介を書いておられる粕川さん。雑談中のムチャ振りにも期待どおりのリアクションをしてくれる博識です。いつもの調子でお願いします。

【バトンRoundUp】

START: 第1回:澤村 信氏(カナ入力派の必須アイテムとは?) → 第2回:朽木 海氏(ウォークマンとケータイをまとめてくれる救世主とは?) → 第3回:大和 哲氏(ケータイマニアのためのフルキーボードとは) 第4回:西川善司(トライゼット)氏(飛行機の友、安眠の友、ノイズキャンセリングヘッドフォン) → 第5回:平澤 寿康氏(出張に欠かせない超小型無線LANルータ) → 第6回:石井英男氏(いつでもどこでもインターネット接続が可能なPHS通信アダプタ) → 第7回:大島 篤氏(電卓とデジタル時計の秘密) → 第8回:荻窪 圭氏(自転車とGPSがあればどこにでもいけます) → 第9回:田中裕子(Yuko Tanaka)氏(これでクラシックもOK!究極のカナル型イヤフォン) → 第10回:佐橋慶信氏(ビジュアル・ブックマークの実践方法とは?) → 第11回:清水隆夫氏(プロ御用達の業務用GPSデジタルカメラ) → 第12回:高橋隆雄氏(傭兵たるものガジェットなど持たぬ!) → 第13回:野本響子氏(「壊れても買い続けたい」理想のロボット) → 第14回:本田雅一氏(本田雅一氏の求める条件にピッタリはまる「あのデジカメ」) → 第15回:塩田紳二氏(紙に書いて「デジタルデータ」になるアイテム) → 第16回:山田祥平氏(山田祥平氏が愛用する移動時間の必須アイテム) → 第17回:元麻布春男氏(元麻布春男氏が「感心した」ガジェット) → 第18回:鈴木淳也氏(ノートPCモバイラーに必須のアイテム) → 第19回:小山安博氏(ライフスタイルを快適にするアイテム) → 第20回:海上忍氏(最強の“心理的防音ルーム”を実現するアイテム) → 第21回:大谷和利氏(古くなっても旧くならないデジタルカメラ) → 第22回:山路達也氏(ラジオを新たなメディアに進化させる「radio SHARK 2」) → 第23回:川野 剛 氏(あと10年は使いたい頑丈なデジカメ) → 第24回:野田幾子氏(面倒を楽しませてくれるウチの亭主) → 第25回:井上真花氏(デジタルだけどアナログのよさを持つ10年選手) → 第26回:安田理央氏(録音するならコレがいい!) → 第27回:とみさわ昭仁氏(コレが「僕の人喰い映画館」) → 第28回:米光一成氏(一度味わうとやめられない便利さ) → 第29回:小野憲史氏(小型で軽量、薄暗いところもシッカリと!) → 第30回:Jo Kubota氏(いつでもどこでも自作・分解するツール) → 第31回:唯野司氏(こよなく「DSテレビ」を愛す) → 第32回:平山美江氏(ハイビジョンレコーダーで動画を120%味わい尽くす) → 第33回:龍川優氏(メタボが怖けりゃ付けてひた歩け!) → 第34回:林 信行氏(自信を持って名機と呼べる携帯電話) → 第35回:塩澤一洋氏(心をまっすぐ伝えるカメラ「GR Digital」) → 第36回:林 伸夫氏(ガジェット嫌いの私が衝動買いした「Garmin Forerunner 305」) → 第37回:川村渇真氏(古いレンズをデジタル一眼レフでも使いたい!) → 第38回:掌田津耶乃氏(思った以上に「バイオリン」) → 第39回:大重美幸氏(ラジオはジョギングトレーナー) → 第40回:須藤慎一氏(パソコンの音を救うのはUSBサウンドデバイスでしょ!)

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